詩「回転の先」

有原野分

回転の先

夜の真ん中に

落とし穴を掘って

君の写真を忘れないように


回転の先

回転の先

回転の先


無数の雨が

落ちるその

一瞬一瞬の

ふとした何気ない光景に

ときおり涙が溢れてくるほどの喜びを感じる

 ことがある


それは生まれてきた意味が

生きていく意味が

見つかったかのような

そんな一瞬の雨を

眺めているぼくの横に

きみがいたからだと

夜、思い出した


くさび形の朝

真夜中に掘っていた落とし穴には

やっと笑顔になった

きみの写真が

今でも

まばゆいだけの昼間がやってきた今でも

埋まっているのだろうか


一度きり

一度きりの

刹那の繰り返し

「泣いている暇なんて

 たまにあればいい


回転の先

回転の先

回転の先

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詩「回転の先」 有原野分 @yujiarihara

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