腐れ王女とハンパヤンキー

ヒナタジャンクション

第1話 出会い

「あんたバカじゃないの!?」「うるさいな!そんなことより、もう行くからな!」

 俺は鬼塚鉄平おにづか てっぺいだ。今日から高校生になるわけだが…家を出るのが遅くなっちまった。

新入生にナメられないように金髪にしようと思ったんだが、これが誤算だった…

黒髪から金髪にするだけなのに、まさかあんなに時間がかかるなんて思わなかったんだ。

「染めるのは朝でいいや」なんて考えは、今になって甘かったと知ったよ…時間ギリギリになって母ちゃんにキレられたさ。

…でも俺は急がねぇ!なぜかって?

【遅刻しそうだからって早足になるのはどう

考えてもダサいからだ!】

そんなわけで、俺はのんびり歩いて行くぜ。

ポケットに手ぇ突っ込んで、猫背でな!

その方がかっこよく見え…


「痛っ!おいあんたいきなり飛び出して…」


 尻餅をついた鬼塚は、同じく尻餅をついた相手を睨みつけた。しかし、罵倒の言葉を

押しとどめることになる。

(おいおい…結構可愛いじゃんか…)

「…す、すまねぇ!怪我はないか?」

鬼塚はここぞとばかりに美少女に手を差し伸べる。

「あ、はい。ぶつかってごめんなさい」

彼女は自力で立ち上がり、鬼塚が差し伸べた右手は失業したのだった。

「あんた、もしかして俺と同じ学校か?」

彼女は鬼塚の高校のブレザーを着ていた。

「たぶんそうですね。ヤンキーさんも西高なんですね」

彼女はスカートの汚れを払いながら尋ねた。

「ヤンキーさんって…俺は鬼塚っていうんだけど、あんたも新入生か?」

「そうですよ。…あ!やばい!遅刻しそうなんだった!もう行きますね!鬼塚さんも早く行かないと間に合わないですよ!」

早歩きでその場を離れながら彼女は忠告する。だんだんと声が遠ざかっていく。


まさか俺以外にも遅刻しそうな新入生がいたとはな。それにしても「ヤンキーさん」か…

ちゃんとヤンキーっぽく見えてたってことかね?

…また会えねぇかな…いい匂いしてたし…

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