第25話 ロリ先生よりあなたへ②

 彼女の話はこれで終わりにして、後は...あ、じゃあ、彼のことについて話そうっと。


 私、バイトをするようになってから、毎日近くのパン屋さんからパンを買ってたって言ったでしょう? 実は私、そのお店まで毎日行ってパンを買ってた訳じゃなくて、ネットで注文して、家まで届けてもらってたの。その時配達をしてくれた、男性の話をしようと思うわ。


 近くにあると言っても、そのパン屋さんは子供の足で歩いたら家から往復20分くらいかかるっていう位置にあったから、勉強の時間も考慮して、あわよくば配達してもらえないかしらと思って、そのお店のホームページを見てみたんだけど、そういうサービスについてはどこにも書かれてなくて。

 その後、一応電話で確認してみたら、やっぱりそういったことはしてないって言われたの。じゃあ、多少時間がかかっても自分の足で行くしかないかぁって思ってたら、


「しかし、ただ今のお客様の意見を聞いて、確かにそのようなサービスがあった方がいいなと思いました。突然ですが、お名前伺ってもよろしいですか」


「えと、まなみです」


「まなみ様。では明日から、まなみ様限定で、試験的に商品の宅配サービスを開始させていただこうと思います。結果次第では、当店での正式な宅配サービス運用を検討しようと思います。貴重なご意見、ありがとうございました。ちなみに注文は、お電話でお願い致します。お名前を言って頂ければ対応致しますので」


って言ってくれて、家まで商品を届けてもらえることになったの。


 その次の日から私は、ホームページでメニューを見て、お店に電話して、欲しいパンと受け取り場所、受け取り時間を指定して、そのパン屋さんの男性従業員の人にパンを届けてもらうようになったの。

 彼が初めて宅配しに来てくれるっていう日、私は外に出て彼を待っていたわ。だって、普通に玄関から彼が入って行ったら、何も知らないお母さんが対応しちゃうでしょ? だから、これから配達に来たときは外の階段を登って来て欲しいっていうことを伝えるために、お母さんに見つからないように、外で待っていたの。

 そしたら数分後に彼が来て、事情を話したらすぐに納得してくれたわ。

 それから毎日、配達時間にアラームをつけてお金も準備していたんだけど、そうやって気を張っていたのは最初だけで、それから2週間ぐらい経った頃には、私、勉強の方に集中し過ぎて、彼が宅配に来たことに気付かないことも多かったのよ。


 そんなある日、彼が、


「もしそちらの作業に集中したいということでしたら、事前にお金だけ置いてていただければ、お部屋に商品置いておきますよ」


って提案してくれたんだけど、そういうことを提案させてしまうほど、彼が来たことに気付けなかった私は、申し訳なさで口をつぐんだの。そんなことを考えさせてしまってたんだ、って。そしたら彼が勘違いしたみたいで、


「...そうですよね。信頼していただけてないということは無いと思いますが、さすがにお金だけ置いておくのは不安ですよね...ごめんなさい、今の忘れてください!」


って笑いながら、申し訳なさそうに言ったの。だけど、彼が悪さをするような人には見えなかったし、その方が彼にも迷惑かけなくて済むかなと思った私は、彼にこう言ったの。


「いえ、それでよければ是非そうさせてください!」


 そして翌日から、本当にお金だけ置いてパンをもらうっていう方法をとったの。私の読み通り、彼がお金だけ取っていったり、パンを置いていかなかったり、お釣を置いていかなかったことは、1度もなかったわ。


 あとたまに、商品と一緒にこんな手紙が置いてあって、その中には必ず、返信用の紙が入っていたの。


「当店の商品のラインアップ、従業員の接客態度等、何かアドバイスがあれば、同封の便箋にお書きいただければ幸いです。その紙を明日、代金の横に置いておいてください。回収し、今後の店舗運営に役立たせて頂きます。」


「現行の宅配サービスについてご意見等があれば、お教え頂けると幸いです。」


「この度、まなみ様への試験的な宅配サービスの結果、従業員の数を増やすことで、本格的に宅配サービスを行うことが決定致しました! ご協力頂きまして、本当にありがとうございました。

 そのお礼といっては難ですが、本日分の代金はいただきません。今後も是非、当店をご利用くださいませ」


「宅配サービスが見事成功し、利益増大による商品の値下げが決定致しました! 各商品の変更後の値段は、ホームページにて掲載しております。

 ちなみに、まなみ様がいつもご購入されている「野菜とチキンのサンドイッチ」は、190円から180円に値下げとなります!」


「新メニューを開発したので、ご注文の商品と一緒に置かせていただきます。こちらの勝手ですので、もちろん料金はいただきません。新メニューの感想等お聞かせください!」


「まなみ様に好評いただきました新商品、「トマトとベーコンのバジルソース塩パン」ですが、まなみ様を信じて思い切って売り出しましたところ、見事今週の人気パンランキングで2位となりました! 1位は不動のメロンパンでしたが、ものすごい売り上げです! そのお礼といっては難ですが、本日分の代金はいただきません。今後も末永く、当店へのご愛顧お願い申し上げます」


 手紙が置いてあると、今回はなんだろうって、すごくワクワクした記憶があるわ。


 そして、少し出てきたけど、「トマトとベーコンのバジルソース塩パン」!! あれ、すごくおいしいのよ!! 初めて食べた時は、思わず目を見開いちゃったわ。新商品の試食は10回近くやって、どれもすごくおいしかったけど、あれはダントツでおいしかったわ。

 ...なんて言ってたら、久しぶりに食べたくなってきたわ! 彼にも挨拶したいし。たまにはお店の方に行ってみようかしら。もちろん、私の大好きなあの人と。




 私の話ばかり聞いていてもつまらないでしょうから、私の話はこれぐらいで終わりにするわね。次の話からは、元のストーリーに戻ります。


 ターゲットとの行為作戦は果たして成功するのか!! 更に今後、私に迫る危機とは?! これからも、目が離せない展開の、ロリ先生のロリコン教育をよろしくね。


 それじゃあ、またお目にかかる日まで。またね。

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