第27話ー手加減
〜ダンジョン1階〜
「ふぅ……ハッ!!」
スライムの死骸から極小の魔石が残る。
「よしっ!やっと残ったよ!
感覚も大体掴んできたし、そろそろ次の階層に行くー?」
「私はそれでも良いけど、それじゃレイルの為にならないから却下よ。」
レイルは不満そうに
「えぇ〜。なんでなのー?
ちゃんと手加減出来たよ?」
「そうじゃないわよ!ダンジョンに入るなら、
ちゃんとマッピングしないとダメよ?
どこに罠やお宝があるか分からないんだから。
僅かな違和感も逃しちゃいけないわ。
敵を倒して終わりじゃないの!わかった??」
それを聞いて目をキラキラさせて興奮するレイルが居た。
「お宝…財宝!そして罠!くぅーっ!
…冒険が僕を待ってる!」
「1階層は罠も財宝も無いって言ったでしょ?
心構えの話をしてるのよ!」
お宝が無い事をすっかり忘れていたレイルは
しょんぼりしながらマッピングしていくのだった。
そして数時間後、1階層全て探索が終わって、遂に
2階層に続く階段を見つけた。
「この階段を降れば2階層なんだね…」
「そうよ。今日は2階層までだからね?
この下にはゴブリンが出てくるわ。
アイツらは1匹なら雑魚だけど基本的に複数で居るのよ。
毎年、初心者がゴブリンと侮って何人か命を落としているから気をつけるのよ?」
「ゴブリンか…気をつけるよ。
よしっ!行こう!」
〜ダンジョン2階〜
先程の鍾乳洞と一緒で洞窟の迷宮だった。
ただ一つ違う所と言えば、そこかしこに灯が灯されていた。
「明るいだけでそこまで変わらないんだね」
「ダンジョンは不思議な所でね、下層に降りれば降りるほど環境が変わるのよ。
それこそ雪山地帯や火山、森林などなど多種多様な場所があるの。
まぁ、レイルじゃまだまだ行けない場所だけどね。」
「へぇー!いつか頑張って行けるようになりたいよ!」
(……本当は貴方ならすぐにでも行けそうではあるけどね。
まだ経験が圧倒的に足りないから無理はさせないようにしないと。)
「ほら!敵がいないか気配を探りなさい。
気をつけないとどこから来るか分からないわよ?」
「うん、わかった!
……我が敵を示せ。エネミーサーチ。
………いた。突き当たり左の角に隠れてる
…数は3匹。」
「…気で探るのは結構難しいのに、
魔法で敵の位置がわかるのは羨ましいわね。」
「じゃ、行って来るね!」
「グギャ?、グギャグギャ!!」
「ゴブゴブゴブゥッ!!!」
そう言ってレイルは飛び出し角を曲がるとゴブリン達がこちらに気付き襲いかかって来た。
(やっぱり、…遅いな。
眼に魔力を込めれば込める程、
敵が止まって見えるや。
…これならあの技で行こうか!)
右手に握っていた刀が無くなり両手に1枚の符が握られていた。
「陰陽術…小太刀符。解っ!
二刀流…疾風迅雷。」
「キィィン」と、洞窟内に甲高い音が木霊する。
いつの間にか目の前に居たレイルがゴブリンの背後に立っていた。
ゴブリン達が振り向きニヤニヤしながら何事もなく動き出そうとした瞬間
…細切れになって消滅した。
「あっ、やばっ!また魔石ごと倒しちゃった…」
「はぁ…、レイルは龍弦老師と修行のし過ぎで手加減が出来なすぎね。
はい、この階層はゴブリンで手加減の練習に決定。
わかった?」
「はぁい……。」
レイルは肩をガックリと落としながら
次のゴブリンを探すのだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます