第18話

 クリフトファー様と約束した翌日のことだった。


「お嬢様、お客様です」


「どなた?」


「エリザベート様とケイトリン様です」


 なんでこの二人が? 私は訝しみながらも、


「客間にお通しして」


「畏まりました」


 そう言って私も客間に向かった。



◇◇◇



「アンリエット! 白状しなさい!」


「はぁっ!?」


 客間に行った私にエリザベートがいきなり詰め寄る。


「惚けるんじゃないわよ! あなた、お兄様と一緒になって何か企んでいるでしょ?」


 なんでバレたし!? クリフトファー様がチクッた!?


「な、なぁんのことかしらぁ?」


「あらあら? あくまでもシラを切るつもり?」


 ケイトリンが怪しげに微笑む。というかエリザベートはともかく、なんでケイトリンはここに居るんよ?


「あなたがお兄様と二人で何かコソコソやってるってのは、とっくにネタが上がってんのよ!」


「私の家での夜会でも色々やらかしてくれたわよね~?」


 あぁ、確かにやらかしたわ。私じゃなくてギルバートのアホがだけど。


「さぁ! キリキリ白状しなさい!」


 こりゃ誤魔化せそうもないな...そう判断した私は、二人に洗いざらい話すことにした。



◇◇◇



「そんな面白いことになってるってのに、なんで私に黙っているのよ!」


「いや面白いって...そりゃ当事者じゃなきゃそう言えるだろうけどさ。別に黙ってた訳じゃないわよ。特に言う必要もないかと思って」


「水くさいじゃない! お兄様には言ったのに、なんで私には黙ってるのよ?」


「いやクリフトファー様にも言うつもりはなかったわよ。ただ私が何か企んでいることを気付かれたから仕方なくよ」


「あら!? そうなの!?」


「そうよ。あくまで仕方なくよ」


 良し良し。エリザベートも分かってくれたようだ。


「あらぁ? その割にはあなた、楽しそうにダンスしてたじゃない?」


 くっ! ケイトリンめ! 目敏いな! そりゃ確かに共犯意識っていうのかな? 同士みたいに感じてちょっと楽しんでいたけどさ。


「あら、あなたとお兄様ってそうなの?」


「へっ!? なにが!?」


「あらあら、隅に置けないわねぇ」


「ねぇ、二人ともなに言ってんの!?」


 私は混乱した。コイツらなんでこんなに畳み掛けて来んの!?


「皆まで言うな皆まで言うな。分かってるから」


「私達もあなた達のために協力を惜しまないわよ~?」


「だからなによそれ!? アンタらなんか勘違いしてない!?」


 私はニヤニヤ笑い続けている友人二人を、困惑しながら見詰めるしかなかった。


 私とクリフトファー様はそんな関係じゃないっての!


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る