第5話
今、私の手元にはキャロラインに関する調査報告書がある。
キャロラインの実家である男爵領と、ギルバートの実家である侯爵領は隣り合っている。
その関係で子供の頃から付き合いがあったそうだ。所謂幼馴染みというヤツだ。キャロラインはギルバートより3つ年下なんだそうだ。
私とギルバート、そして舞踏会に招待してくれたエリザベートは学園では同級生だった。キャロラインは私達が卒業した年に入学して来たから、私とキャロラインは面識が無い。
あの侯爵家での夜会で、人目を忍んでギルバートと抱き合っていたのを見たのが最初だ。遠目からだったが見た目は華奢で、守ってあげたくなるよう雰囲気を感じたのを覚えている。
女の私でもそうなんだから、男であるギルバートなら尚更だろう。ましてや幼馴染みという関係でもある。コロッと手玉に取られても不思議は無い。
キャロラインはそのくらい強かな女だった。
まだ学生の身でありながら、貢がせた男の数は数知れず。高位貴族の令息であれば片っ端から言葉巧みに近寄り、次々と骨抜きにして行ってるらしい。彼女のせいで婚約者から婚約破棄を突き付けられた令息が後を絶たないんだとか。
おかしいと思った。一介の男爵令嬢が侯爵家の夜会に呼ばれるなんて普通は有り得ない。恐らく誑し込んだどこかの令息に連れて来て貰ったんだろうが、そこで次のカモを見付けたってことか。ギルバートという名のカモを。
おバカなギルバートは、きっとそんなこと露ほども思っていないだろうな。大方、久し振りに会った可愛い幼馴染みにデレッとして、更に小説の話で盛り上がったもんだから、すっかり浮かれて同じように骨抜きにされたってとこなんだろう。
本当に愚かな男だ。
ここ最近のギルバートは、かなりの金額をキャロラインに貢いでいるのが分かっている。ドレスや宝石など、高級品ばかりを買い与えている。それと高級レストランで派手に飲み食いしているらしい。
全て我が伯爵家のツケで。
まだ結婚もしてないのに、ウチの金を勝手に使い捲るなど有り得ない。それも浮気相手のために使うなど、やってることは泥棒と変わらない。
もちろん私は払う気なんて微塵も無い。全てのツケはギルバートの実家である侯爵家に回したし、各店舗にはウチのツケで物を売ったり飲み食いさせないように周知したから、買い物も飲食も出来なくなっている。
ギルバートは実家からもかなり厳しく言われているはずだ。
そろそろ私に泣き付いて来る頃かも知れないな。
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