転生先はゴースト!?

森川 優

第1話 エピローグ

平凡な日常。

 俺は彼女いない歴=年齢の25歳ヒキニートだ。

 大学を卒業したと同時に決まっていた就職先で働いていたが、長続きはせず辞めた。

 それからはバイトを転々とする人生だった。

  そして一週間前勤めていたバイト先も辞めた。これで正真正銘ヒキニートになってしまったのだ。

 毎日同じ日常の繰り返しだった。

 朝は好きな時間に適当に起きる。予定もないし仕事もない。友達も少なく遊ぶ予定もないので何時に起きようと問題なかった。

 起きてからはテレビを見たり、ゲーム、mytubeで面白い動画を漁ったりしている。

 気がつけば夜になっていていつの間にか寝ている。

 実家に住んでいるので幸い家賃等は払わなくて済んでいた。

 母よ。すまない。こんな不出来な息子を許してくれ。いつかきっと恩返しするから...多分。

 だけどもう少しだけスネを齧らせてくれ。

 普通の家庭なら成人している自分の子供が働かず、ずっと家に引きこもってゲームをしているだけで、家にお金を入れることすら全くせず、ダラダラと過ごしている姿を見ると何かしら思うことがあるだろう。思われるだけならまだいい。

 早く働けと言われたり、最悪家を出ていけと言われる家庭もあるんじゃないか?

 しかし俺はないのだ。そう、完全に甘やかされている。

 バイトをしていた時は、働くため外に出ていたが、今では外に出るのはコンビニにいく時ぐらい。大学時代の唯一の友達から誘われる事もあるが、これすらも最近は断っている。なぜかって?お金がないんだよ。働いていたときは少し余裕があったから遊んでいたが、収入源がなくなった今遊びにいけるようなお金はない。

 さすがの俺もお小遣いはもらってないからな。

 だからお金のかからないゲームにハマっていた。最近では無料でできるゲームもあり、しかも中々のクオリティだ。

 ヒニニートの俺にはめちゃくちゃありがたい。





『今日はこの辺で落ちるわ』

『おうお疲れー』


 日課になっているゲームを終えたとこだ。

 もうこんな時間か。

 ニートの最大の武器である時間を利用し、俺は今日もネットの友達と長時間ゲームをしていた。


『フゥ...』


 流石にずっとしていたから疲れがあった。

 持っていたコントローラーを置いてその場に寝転がった。

 木目調の天井をみながらぼっーとしていた。

 俺っていつからこんなダメ人間になったんだ。

 小学生の時はかなりやんちゃな性格だった。

 一年生の時にからかいに来た六年生の顔面を殴って鼻の骨を折ったり、女子のスカートを捲ったりするそれはそれは可愛い男の子だった。その時は男女共に友達が多かったことを今でも覚えてる。

 みんな今頃どうしてるのかな。

 久々に会ってみたい気持ちもあるが、今の俺の状況では恥ずかしくて会えない。

 社会人として立派になってるであろう友達に、毎日ゲーム三昧のヒキニートが何を語り合えるのだろうか。

 仕事の話も絶対にするだろうしその時俺は何て言う?


『...』


 駄目だ何も話せない。


『あー働きくねえ!!』


 やっぱりゲームだけが友達だわ。とりあえずお腹空いたしコンビニに何か買いにいこう。

 家の近くのコンビニに向かった。

 オールでゲームをしていたせいか睡魔が襲ってくる。

 そこの角を左にいけばもうコンビニだ。

 何を食べようかなと考えながら角を曲がったその刹那。


 キイイイイイイイ!!!ドンッ!!!


 甲高い音が鳴り響いた。


『だ、大丈夫ですか』

『救急車を呼ぶんだ!早くっ!』

『生きているのか...』


 人の声が聞こえる。

 人が横向きに見え、身体が重く動かない。

 そうだ角を曲がろうとしてトラックに引かれたんだ。

 理解した瞬間全身に激痛が走った。

 痛い。今まで感じたことのない痛み。

 死ぬのかな。

 朦朧とした意識の中、それが最後に見た光景だった。

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