虚実７：３

第七週「交換」（序）

こんばんは。待ってたよ。よく来たわね。

あら、それは……飲み物？　近所のコンビニで？

ありがとう。でも、ここでは飲食厳禁よ。

帰る時にでも？　じゃあ、ありがたくいただくわね。

飲食は厳禁なんだけど、この保管室の休憩スペースには冷蔵庫があるの。そこで冷やしておきましょう。

……どうかしたの？　あまり浮かない顔をしているわね。

飲み物を買ったコンビニで嫌なことがあった？

ふむふむ。

コンビニで飲み物を買う時に、どれを買おうか迷っていて、しばらく冷蔵庫のドアを開けてたら、奥のバックヤードの店員から睨まれて舌打ちされた？

…………まぁ、この時期、冷蔵庫を開けっぱなしにされると飲み物が温くなるから。

だからって、舌打ちまでされるなんて、嫌な気分よね。分かるわ。

レジにいた店員には何か言った？

何も？　そう、それはえらいわね。

でもね、コンビニって色々なサービスを提供できるようになった反面、色々なトラブルを抱えることが多いのよ。

例えばさっきの飲み物の件……この季節だと「冷えてないじゃないか」ってクレームが必ず何件か入るのよ。

コンビニなんて頻繁に商品の入れ替えや補充があるのだから、冷えてないことがあっても何ら不思議じゃないのにね。

信じられない？

でもね、コンビニって場所はあらゆる人が24時間いつでも入れるのよ。

……あらゆる人が。