第一週「おーい」(結)

どうだったかしら。それなりに怖かったかしら?


え、こんなことあるはずない?


うーん、7割正解かしら。

ちなみに交通事故は本当よ。

そしてこの窓の男も本当。


そんなバカな?

この世に幽霊なんているはずがない?


うん。だって窓の男は……Bさんは怨霊や幽霊なんかじゃなくて、今も生きてる普通の人間だもの。


きっかけは、ちょっとしたイタズラだったのよ。


ビルには営業中の事務所があって、休憩時間中、Bさんは煙草を吸いながら、窓の外を眺めていた。

するといつも決まった時間に通過する自転車がある……Mさんのことね。


ある日、仕事でトラブルがあって、Bさんはむしゃくしゃしていた。

イライラしながら煙草を吸っていると、そこへいつもの自転車が……憂さ晴らしに、ほんの少しビックリさせたかったらしいわ。

わざと自転車に乗ったMさんに見えるように、大袈裟に手を振ったの。


すると……あとは分かるでしょう?

ほんの数秒の脇見をしたMさんは交差点で自動車と衝突。

それを見て怖くなったBさんは急いで隠れた。


それが事の顛末。

どう?虚実7:3ってところじゃない?


ね、荒唐無稽な物語にも嘘と本当が混ざっているのよ。


少しは興味が湧いたかしら。

それなら、また来週、いらっしゃい。

また会えたら嬉しいわ。








え、他にもついている嘘はないかって?


あぁ、そうね。


本物のMさんはヘルメットをしていなかったそうよ。


では、さようなら。また会いましょう。

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