〜4巡目〜 水飴の怪

ある所に坊主と1人の小僧がいました。


坊主たる物、修行と称して節制を行う物。


しかし、その坊主は違いました。皆に隠れてひっそりと水飴を舐めていたのでした。


ある日、小僧が押し入れを掃除していると、水飴の入った壺が見つかりました。それはとても大きく、ちょうど小僧がすっぽりはいる大きさでした。


「和尚もいないし食べてしまおう!」


小僧は別の小僧を呼び寄せ、水飴を分け合いました。いっぱいあった水飴は一瞬の内に無くなってしまいました。


ここで和尚が帰ってきました。


ばれたらまずいと思った小僧は、壺の中に水を入れる事を考えました。


するとどうでしょう。水が水飴に変わっていたのです。


和尚はこれをうまいうまいと平らげてしまいました。


不思議に思った小僧は、壺を調べるため中に入りました。


それっきりその小僧を見たものはいません。


その壺にはずっと水飴がはいっていたそうです。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

真夏の夜の百夢 榊 せいろ @seilo2

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ