〜3巡目〜 画竜点睛を描く

みなさんは『画竜点睛』という言葉をご存知ですか?これは物事を完成させる時に必要なことを表す言葉です。


ある所に『画狂仙人がきょうせんにん卍』という画号の絵師がいました。


彼は幼少の頃から絵の才能があり、50年以上も作品を描き続けていた。


ある日、彼は龍の絵を描きました。とても躍動感があり今にも動き出しそうな絵でした。しかし、彼は龍の目を描きませんでした。


「何故目を描かないのですか?」と彼の弟子は言いましたが、彼は「この絵を完成させるには早すぎる」とだけ言い、後のことは教えませんでした。


「こんなに素晴らしい絵のなのに、完成させないのはもったいない!」

そう思った彼の弟子は、彼に無断で龍の目を描いてしまいました。


すると、絵から龍が飛び出てきました。龍はその背に弟子を乗せました。


「すごい!本当に飛んでいるなんて夢みたいだ!」


〜〜〜


次の日、彼は凍りつきました。弟子が龍の絵に覆い被さるように倒れていたのです。呼吸を確認するも、もう事切れていました。


ですが、その死に顔はこの世も物とは思えない美しい物だったそうです。


ポッ…

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