〜1巡目〜 側溝のともだち

今から話すのは、ある男の子とともだちの話です。


ある雨の日、男の子は黄色いレインコートを被り、ある場所に向かって走っていました。

雨の日にしか会えないともだちに会うためです。


やってきたのは町外れの交差点にある側溝です。ここにともだちはいます。


「おーい!いる?」

男の子はともだちに声をかけて、側溝に折り紙で作った鶴を投げ込みました。


「はーい!いるよー。」

側溝から酔っ払ったようなおじさんの声が聞こえてきました。そう。彼がともだちです。


「おー今日は鶴を折ってきたんだ。いいね。」

ともだちは側溝から手を出し、さっき投げ込まれた鶴を男の子に見せました。


「でもね、もっとクールな鳥の方がだったらもっと良くなると思うよ。」


「クールな鳥って?」


「カカポ※」

※正式名称フクロウオウム。ニュージーランドに生息する世界最大のオウムだが、翼が小さすぎて飛べないため、絶滅の危機に瀕している。一時期、回転しながら虹色に発光する絵がネットミームとして流行り、一部では『ゲーミングバード』とも呼ばれている。


「はあ?かっこよくないよ。帰る!」

男の子は怒って家に帰ってしまいました。


(うーん…タチヨタカ※と答えた方が良かったかな?)

※南米に生息する鳥。特徴的な顔を持つ

ともだちは後悔しました。でもこのくらいでは挫けはしません。

次の雨の日にはまた来てくれるのですから。


ポッ…

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