〜1巡目〜 森

初めましてナガノと言います。オカルト系サイトのライターをやっていて、よく仕事で心霊スポットに行ったり、そうした話をよく耳にするんですよねー。


というわけで、僕の知り合いが実際に体験したことを話していくよ。


〜〜〜〜〜


僕の知り合いに田中ってやつがいるんだけど、7、8年前くらいに上京してきたらしいのね。

彼は金をほとんど持っていなくて、住む場所も中々見つからなかったんだ。そこで目に入ったのが築5年1LDKのアパートで、敷金礼金なし家賃が4万円という破格の安さの物件。


当然購入するよね。

それで、入居した後なんだけど押し入れに荷物を入れようとした時、彼はその天井に異変を感じたんだ。


「天井に…文字?」


天井には筆で大きくこう書かれていた。


『森』


普通ならもりと読むけど、彼はこの字を読めなかった。…いや読みたくなかったのだ。


「そんな、何でもりと読めないんだ!」



その文字の読み方は


スズキヒロシマツオカマサシカネコアスミ

だったんだ。


彼はおかしいと思いすぐに押し入れから出たんだ。

その時

ガサ…!

落ち葉の音が聞こえたんだ!

そう、押し入れの先は元の部屋じゃなくて鬱蒼とした森になっていたようなんだ。


彼は大声で助けを呼んだりしたが当然誰も来ない。このままここで暮らすのかと思い始めたその時、彼に天啓がはしった。


彼は急いで、まだ空いていた押し入れに戻り

『森』の字に持っていた鉛筆で書き足したんだ。


 休

休 休

…それからの事はよく覚えてないみたいだけど元の部屋には戻れたそうだ。


戻った後はすぐにアパートを売り払ってそれからは何もなかったらしいけど、こう、身近にある恐怖って恐ろしいよね。


ポッ…

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