Love Heresy
タケろー
プロローグ
まただ
水の中にいるのにちっとも苦しくない
暖かい浮遊感に対する冷たい感覚、水面の光が近づくにつれ世界は反転し…
ドガッ!
痛みとともに目が覚める。
「痛ってぇぇぇ」
寝相の悪い俺はベットから落ち目が覚める。
見ていた夢なんて忘れ、外側からの頭痛を感じながら朝の支度をしはじめた。
テレビでは朝のニュースで女性の水死体がどーだの、これで5人目だの物騒なことを話している。
そんなことを横目に俺は、男にしては少し長い髪を後ろで結び、大学へと家をでる。すると
「あぁおはよー海人さん。眠そうだね。」
と、制服を着た少女が、いわゆるJKが声をかけてきた。
元カノの妹である彼女が、短く切った茶髪をいじりながら問いてくる。
「まあね、昨日はあんまり寝れてないんだよ。」
「フーン…」
正直言ってあまり彼女との仲は良くない。ましてや、あんなことがあったんだから互いに気まずい。
「勉強できてるか?今年受験だろ。」
「まあボチボチ…」
「あーそう…」
「………」
「……………」
気まずい…お前から話しかけてきたんだろと言いたくなる気持ちを抑えて、それじゃと逃げるように大学へ向かう。彼女の何か含みのある表情はすこし気がかりだった。
いつもと変わらない講義をうけ、いつもと変わらない学食を食べ、いつもと変わらない日常を俺なりに過ごしていく。これが俺の普通なんだと誰かに言い訳するかのように、適度な刺激と退屈で満たされた日常を今日も過ごした。
帰り道、また彼女に会った。
家が近いからと、気まずい中また一緒に歩く途中で、違和感が生じる。
いつも横に並んで歩く彼女がなぜか今は一歩後ろを歩いている。
いつも大きいリュックに荷物を入れている彼女が朝にはなかった紙袋を持っている。
そしてなぜだろう、俺は…
ズブッ
と背中に異物が差し込まれる。
熱い、痛い、ヤバい、気持ちが悪い、分からない。
意識が遠のく中、やはりなぜだろう、俺はこの少女の名前が思い出せなかった。
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