拝啓、私を追い出した皆様 いかがお過ごしですか?私はとても幸せです。
香木あかり
一話 家族への手紙
拝啓、懐かしのお父様、お母様、妹のアニー
私を追い出してから、一年が経ちましたね。いかがお過ごしでしょうか。私は元気です。家業である茶葉の輸入販売は順調ですか?アニーの占いでは、私がいなくなれば上手くいくのでしたよね。
私は家を追い出されてから、隣国のアクアミューレで暮らしています。こちらは気候も良く、大変過ごしやすい所です。
最初は何でも屋のようなことをして生計を立てていました。しかしある時、不治の病だという方の病原を吸い取って浄化したところ、その方に気に入られて、一緒に暮らすことになりました。
彼は大変親切で、私に仕事まで用意してくださいました。今では私、治癒師として結構有名なんですよ。
そして先月、その方と結婚いたしました。絶縁したとはいえ、一応報告しておこうと思いまして。あぁ、お相手はフランツ・リーデルという方です。ご存知ですよね、リーデル公爵のこと。
お父様が常々「我が家の商売敵」とおっしゃっていたリーデル公爵です。リーデル公爵が取り仕切っているグリュック商会では、本格的にそちらの国への茶葉販売も始めたんですよ。市場をほぼ独占できて嬉しい限りです。
そう言えば、お母様とアニーが持っていった私の美容液ですが、使用前に精製水で薄めないと毒に侵されますのでご注意くださいね。まさか、勝手に使ってはいないと思いますが、念のため伝えておきますね。
もう回復役の私がいないのですから、お身体は大切になさってくださいね。
それではまた手紙を書きますね。
ローザ
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