第1話「始まりⅠ」

第1話「始まりⅠ」



「なにゆえ、人はこうも愚かなのか...。

されど、美しく感じさせる。」



薄暗い中、大きな燭台しょくだいが4つ元気に炎が照り出す。

そこへ、重々しく少し掠れた、

しかしおじいさんのような声色ではない声が聞こえてくる。

一体誰が喋っているのか。



目はパッチリと覚めているが、

ほぼ暗闇で燭台の光はこちらまで行き届いていなかった。

そんな中、必死に声を出そうとする。

やっとの思いで出そうとした声をかけようとすると突然、辺りは青白い光、

いや快晴の青空のような明るさが自身の身体を中心に広がり出す。

同時に水紋のような模様が

足元から広がりだした。


そしてそれと共にあの声も消え去る。



自身の身体も鮮明に取り戻す。

秩序ちつじょが満たされた。

身も、心も、外界も。

そしてまた一瞬にして辺りは暗闇が光を呑み込んだ。


これが何を意味するのだろうか、考えても分からない。

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