第2話「悶々」

クロちゃん「……」ボーッ


団長「──い、おい! クロちゃん!」


クロちゃん「あ、団長……? ごめん、ボーっとしてたしん」ハッ


団長「困るんだよクロちゃん! 稽古中にそんなんじゃさぁ! 俺らももう後ねぇーんだから!」


HIRO「最近……。クロ……。元気ない……」


団長「どうせお気にのアイドルが引退したとか女の子相手に勝手に勘違いして振られたとかそんなんでしょ! いい歳こいていつまでもフラフラしてさぁ!」


クロちゃん(あれから、一週間。ワイちゃんの事が頭から離れないしん)


クロちゃん(なんというか、下心なんかじゃなく──もう一度、会って感謝がしたいんだしん。こんな風に思うのは初めてだしん。ちゃんとこのハンカチも返して、それから──)


団長「聞いてんのかぁ!?」グイッ


ハンカチ「」パサッ


クロちゃん「あ……」


団長「なんだぁ? 女物のハンカチ?」ヒョイッ


団長「うわっ、これっ、血でカピカピじゃん! クロちゃんの!?」


クロちゃん「そ、そうだしん。オイラの血は濃くて落ちなかったんだしん」


団長「気色悪いんだよォォォォォーーーーーッ!!!!」ダンッ


かかと「」グリグリ



クロちゃん「──! どくんだしん!」


ハンカチ「」グリグリ


団長「ほら! 何か面白い返ししてみなよ! してみなって!」


団長「俺はクロちゃんにお笑いを教えてあげているんだよ!」


クロちゃん「こ、このぉ!」グッ


HIRO「……」スッ


クロちゃん「HI、HIRO! 邪魔するなしん! 団長をぶっ飛ばさなきゃ気が済まないんだしん!」


団長「なに、クロちゃん!? 今俺の事殴ろうとしたの!?」


団長「や、やべぇよこいつ……。とんずらしとこ……」タッタッタッ


ガチャッバタンッ


シーンッ


HIRO「クロ。今日はお開きだ。少し、頭を冷やせ」


クロちゃん「い、今のは団長が悪いんだしん! そのハンカチはオイラにとっての道標で、光で、蜘蛛の糸なんだしんよ!」


HIRO「女──か」


HIRO「何があったのかは知らないが、あまり入れ込むなよ。団長はああ見えてクロのことを心配している。今まで散々な目に遭ってきたじゃないか。また傷つくようなことがあれば団長も悲しむ」


クロちゃん「ワ、ワイちゃんは今までの女の子達とは違うしん!」



クロちゃん(団長もHIROもわかってないしん)トボトボ


クロちゃん(確かにオイラの惚れっぽい性格を利用されてたくさんドッキリにも引っ掛けられてきたしんけど)


クロちゃん(あの子はオイラを善意で助けてくれたんだしん。それに対してお礼がしたいだけだのしんのに)


肩に腕「」ガシッ


クロちゃん「え?」


ボクシング部「おーい! いいサンドバッグ見つけたぞー!」


クロちゃん「ああ、乱暴な学生に捕まっちゃったしん……。こんな時にワイちゃんがいてくれれば……」


ワイ「いいですねぇ。まだまだ殴り足りなかったんですよ」シュッシュッ


クロちゃん「えっ」


ワイ「えっ。あっ!」クルッ


クロちゃん「ワ、ワイちゃん──だしん?」


ワイ「ク、クロちゃんさん……あ、いえ、その、お見苦しいところを……」ドギマギ


ボクシング部「なんだぁ? 2人は知り合いかよ?」



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【SS】クロちゃん「好き! ワイちゃん好き~!」 ワイ「酔いすぎですよクロちゃんさん」 文月 景冬 @Fuzukie

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