交配

バブみ道日丿宮組

お題:僕と猫 制限時間:15分

交配

 人が他の動物や生物を滅ぼしてから、数百年の時が過ぎた。

 昔はいろんな動物たちと共存関係化にあったが、人間の欲望は金目になる、食べられる、となると目の色を途端に変えて乱獲する。絶滅なんて知ったことじゃない。一匹足らず捕獲し、絶滅危惧種をなくす。

 それは数百年を待たずとしても既に当然起こってたことだった。文献としてデータベースに残ってる動物の絶滅した年がその年よりもはるか前だった。

 今は養殖物を食べるために産まれた食動物しか純粋な動物は存在しない。

 その代わり誕生したのが、獣人間ーーつまりは獣人だ。

 他の動物を蘇らせること。欲望の対象にならないために人間の遺伝子と様々な動物を遺伝子配合し、新たな人間として誕生させたのだった。

「そのせいで身長が伸びないのが最悪だ」

 インターネットに猫との配合者がどんな結末を迎えてるかを見てるが、まず身長があまり伸びない、胸が大きくならない。マタタビに弱いと弱点が多い。

 僕が猫との配合になったのは父の要望らしい。

 撫でられる可愛い女の子がいいってことらしい。

 なお、父はゾウとの配合ですごく鼻息が荒く、鼻が長く手足より上手に動かせる。母のそのテクニックに翻弄されたらしい。ちなみに母はクラゲ。

 お風呂に入ることはできず、シャワーを浴びることしかできないため、学校のプールでいつも見学で悲しかったといってた。

 だからこそ、猫のような気ままさがいいと父の要望に反対意見を述べることはなかった。

「……っ」

 本人の意思は自我が芽生えなければ覆しようがない。

 だからこそ、結婚して産まれてくる子どもの大半は自分の産まれた動物配合に不満を持ってる。違った欲望が今の人間社会で爆発的に騒がれてるのはそういうわけがある。

 ちなみに僕はクラゲの因子も、ゾウの因子も多少はあるため、見えない触手で相手を痺れさせることができる。

 主にこれは痴漢対策に役立ってる。

 学生服の上に見えない触手を巻きつけて、触った瞬間に毒を入れる防衛をしてる。

 とはいえ、僕みたいな猫娘には手を出す男というのはいない。

 大抵電車の中で見かけるのは、牛と交配した人や、タコと交配した人、カピバラと交配した人など限定的であり、直感的にわかる人になってる。

「……」

 今日も情報はなかったと、ネット社会から現実社会に脳を切り替える。

 今日も学校なのだから。

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交配 バブみ道日丿宮組 @hinomiyariri

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