監禁
バブみ道日丿宮組
お題:誰かと監禁 制限時間:15分
監禁
「だから止めようっていったんだ」
「そうは言ってもきになったものはしょうがないじゃん」
生意気そうな笑みを殴りたいけれど、じゃりじゃりという手錠に繋がれた鎖が音を作るだけ。文字通り監禁されてしまった。
まだ明るいから地下室に唯一ある上部に設置された窓からは光が差し込んできてる。光程度じゃなんの役に立たない。誰かが通りかかっても視界的に中は見れない。
声ぐらいは届くかもしれないが、そもそも近づくなって言われた場所に近づく好奇心あふれるバカは、ボクの幼馴染しかいない。これは絶対だと断言できる。
「ねぇ僕たちどうなると思う?」
「……噂通りなら、ボクはあんなことやそんなことになって、君は拷問されるんじゃないか?」
えー男女不平等だよとここに連れてきたやつが文句をはく。じゃぁなんでこんな場所に探検しようという提案をしたんだ。
「ボクだってされるのは嫌だよ。好きな相手でもない相手となんて絶対に」
「好きな人いたんだ。意外」
「な、なんだよ!? い、いちゃいけないのかい! き、君はどうなんだい?」
うつむく幼馴染の顔は薄暗く見えない。そのせいで胸のもやもやが消えてくれない。むしろ心臓の音が飛び出してしまいそうだった。
「いたらいたらかな? 今は脱出する方法を考えよう」
「た、ためてそれなのか!! ずるいぞ」
ボクがぎゃぁぎゃぁ騒いでると、なぜか幼馴染の姿が下へと落ちた。鎖に繋がれてるから倒れるはずがないのに。
「帰ったら文句はいうからさ、とりあえず手錠を外すよ」
「な、ななな近い、近すぎだ!」
騒ぐなよ、バレちゃうだろうと幼馴染はボクの口を抑えた。
至近距離に幼馴染の顔が近づいたら、意識しなくても無意識が反応してしまう。心臓の音だって聞こえてしまうかもしれない。
「大丈夫? だいぶ呼吸が荒いけど?」
「だ、大丈夫に決まってる。はやくして」
騒いだり、慌てたり激しいなと幼馴染は静かになると、瞬く間に手錠を外し自由を作り上げた。
「いったい、どこでこんなことをならったんだ」
「よく父さんに叱られて、物置に閉じ込められたからね。自然と鍵とか手錠はすんなり」
すんなり……いや、幼馴染のことだ。父君と何か特別なことをしてるに違いない。
「ほら、いくよ?」
「う、うん」
うつむいてる間に地下室の鍵まで開けてしまった。
ボクが考える暇はないってことかい。
ほんとボクには眩しくてついていっていいのか、不安になる。
でも、ボクをボクとしてくれるのは幼馴染しかいない。
「よし、急ごう」
だから、伸ばされた手を自然と取った。
これは好意からじゃなくて、逃げるために必要なこと。
断じて、好きだからじゃない。
そう好きだから……じゃないから。
監禁 バブみ道日丿宮組 @hinomiyariri
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
関連小説
ネクスト掲載小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます