イカスミシャワー

バブみ道日丿宮組

お題:イタリア式の怒り 制限時間:15分

イカスミシャワー

 パスタが空から降ってきた。

「あつい」

「真っ黒だね」

 幼馴染の言う通り、制服が徐々に黒くなってくのが見える。

「ごめんなさいね?」

 頭上から聞こえ、方角に視線をむけるとエプロン姿の生徒がフライパンを持ってウィンクしてた。

「はぁ……いいですけど、これイカスミとかですかね」

 やけに臭い。髪の毛からくらったし、パスタは地面に落下。食べられることはないが……敷地内で勝ってる犬が食うか? いやお腹を壊すか。

 なんにしてもカラスたちが片付けるかもしれない。

「そう外道だっていわれて喧嘩したら、飛んでちゃって?」

 なぜに疑問系なんだ。

「わかりました。料理するときは喧嘩しないでくださいよ」

 ため息をはきつつ、あるき出す。

 また同じようなものが降ってきたらどんな臭いに変化するかわかりもしないし、知りたくもない。

「ハンカチあるけど、使う?」

「いい。綺麗なのが私のせいで汚れるのは勘弁だから」

 その言葉に幼馴染は残念そうな顔でしゅんとした。

「その変わり、家のシャワー貸して? あと服も……私用のたくさん買ってあるんだよね?」

「うん、うん! 全然いいよ! ほら、はやくいこう!」

 しゅんとした顔が突然活気に満ちて、手を引っ張り出すまで元気になった。

 一体私の着せ替えにどんな価値があるというのだろうか。

 まぁ……このまま家に帰ったら、間違いなくじいさまに怒られるのは目に見えてるから諦めるしかない。

『武道の跡取りたるもの、落下物を避けれないとはいったいどういうことだ!』

 きっとこんなことをいうんだろうな。

「赤信号が待ち遠しい! 思い切って渡っちゃおうか!?」

「いや、さすがに死ぬし、事故起こしちゃダメでしょ」

 人間の一般的なルールは最低限守ろうよ。

 まぁ、最近はルール守ってても事故が多発してるからなんともいえないんだけどさ。


 幼馴染の家のシャワーを借りて、着替えに用意されてたのはネコミミメイド。

「……はぁ」

 これを着て、制服が乾くのを待つしかないのか。いや他を用意させ……ることはできないか。棚にたくさんの衣装があるのは見てるし、もっと際どいのもあるし……撮影されるし心を決めるしかない。

「あ、やっぱり猫さん似合うね」

「さすがお嬢様の見込み通りです」

 幼馴染はとあるお金持ち。

 だから、メイドがいるのだけど、この人も変わっててご主人様である幼馴染とほぼ同じ思考。可愛いのかよくわからない格好に私をさせたがる。

 だけど、着心地がいいから文句は言ってられない。

 何万とするとか前に聞いたから、もう怖くて普通の服として着慣れるしかない。

「イカスミパスタの喧嘩でしたので、今日はイカスミパスタを昼食にしませんか?」

「うーん、美味しいならなんでもいいよ」

 頭にかかることはもうないだろうし。


 数日後、ナポリタンソースをかぶる私が誕生することはこのときは思いもしなかった。

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イカスミシャワー バブみ道日丿宮組 @hinomiyariri

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