双子
バブみ道日丿宮組
お題:愛と憎しみのボーイズ 必須要素:しいたけ 制限時間:15分
双子
好き嫌いは良くないといったのは俺の方だったが、
「毎日しいたけ料理作らなくて良いんだぞ?」
「あたしだって、にんじん入れてるからおあいこでしょ?」
そう言われると文句はいえない。
お互いに嫌いな食べ物を食べあってる。
「双子の調整は終わったのか?」
「うーん、順調かな? 感情がない兵器になりそうだけど」
感情のない……か……やることを考えれば、感情はないほうが幸せに思える。だがどうなんだ。俺たちの子どもでもある双子を戦いを終わらす兵器にしてる時点で俺らに愛を語る資格はない。
「DNAの違法改造、肉体の変形。人間とは思われないだろうね」
「それでも人間だ。しかも男の子」
彼らが闘う頃には、憎しみの連鎖は俺たちが負う。
子どもは自由に破壊の限りを尽くしてもらう。
「パパ、弟の名前決めたの」
「そうか、ありがとうな」
失敗作として生まれた子どもは今や本当の家族になった。俺たちのやることを理解するぐらいの遺伝子操作はあるが身体が弱い。
「とても強そうだな」
「強くなきゃ、戦争には勝てない」
そうだなと子どもの頭を撫でる。
「他のセクションが潰されてるって話を聞くから俺たちも急がないと潰されるな」
違法な業務雇用、違法な法整備、違法な人体実験。
この国は野党が力を握ってからおかしくなった。
元々おかしかったという方が正しいのかもしれないが、魔物を作り出し、死者で溢れかえさせるそんなことを平然とする人とは思っては誰もいなかった。
そのおかげで友好国たちは滅んだ。
滅ぶように協力をせがみ、敵国として認定した国と心中した。
「私たちが失敗しても他の誰かがこの国を止めてくれる」
「あぁ、だから慌てる必要はないが……せめて男の兄弟が満足に戦えるようにセッティングしなきゃな」
「わたしも手伝ってるから、もうちょっとで終わるよ」
「そうか」
子どもが食べてるものを見るとすこし複雑な気分になる。
本当の子どもであるのに、食べるものは自己を崩壊させないカプセル、神経を破壊しないようにする薬と、食を満たせるものではない。
すこしは砂糖など加えて食べやすいものにしてるらしいが、見てる方が辛くなる。
「大丈夫だよ、お父さん。わたしも戦ってるの」
「あぁ……すまんな」
笑う顔は彼女そっくりだ。俺にになくてよかった。しいたけが苦手なのは遺伝してるがな……。
ほんとこんな時代じゃなきゃ、きっとモデルとかそういう職業になったりしたのかもしれない。
憎しみを双子が終わらせれば、愛が再び巡る世界がくるはず……そうでなければ失われた生命に顔向けできない。
双子 バブみ道日丿宮組 @hinomiyariri
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