隠し子という教え子

バブみ道日丿宮組

お題:残念な罪 制限時間:15分

隠し子という教え子

 罪滅ぼし。

 それがはじめの行動だった。

 今はなんだろう。

 なんとなくというのが正しいのか、適当にやってるのが正しいのか。

 考えても言葉が浮かんでこない。

 そもそも偽善者という時点で全員を救えない罪を背負ってる残念な奴が僕なんだ。

「依頼完了」

 封筒に証拠写真と、いくつか気になったファイル、犯人に繋がるものをこめる。

「お願いね」

 仕事場にいる鷲に封筒を渡すと咥えて、窓から外へ飛び出した。

 夜には帰ってくるだろう。

 ご褒美はうさぎの丸焼きがいいだろうか、マウスは最近飽きてきたみたい。それは僕もだけど。

「さて……」

 依頼はたんまりある。

 解決できないものも、すぐに終わるもの、どうでもいいものとたくさん。

 有名になったのは良くなかった。

 王様の隠し子を言い当てなければこんな待遇にならなかったものを。

 残念だ。

 1人で暮らすには立派すぎる館。

 機械が制御するセキュリティ。いろんな罠。AI。

 そして執事の少年。

「……」

 少年というか、隠し子を育ててるといったほうがこれは正しい。

 先生の元で勉強して、後の国の財産となるようにしてやってほしい。

 それが王様からの依頼。

「そろそろ解けたかい?」

 自分のデスクから、教え子のデスクへと歩くと、

「半分ほどです。どうにも犯人の動きが人間っぽくなくて」

 そういって液晶ディスプレイに描かれた地図に赤い線をいくつも書いてく。

「なるほどね。人間のスピードではないし、水中も移動してる、おまけに空も飛ぶ」

 そんな人間がいたら間違いなく化物だね。

「これは犯人じゃないよ。協力者というのかな。撹乱させるトリックだよ」

「トリック……それだと全くこれらには意味はないと……?」

「意味はあるさ。こうして君を悩ませた」

 なるほどと、教え子は頷く。

「では、先生解答ができたので確認してください」

「はい、じゃぁ次の依頼をお願いね」

 はいとキレイな声が返ってきた。

 自分のデスクへと戻ると、パソコンの共有フォルダにあるファイルを見てく。

 テンプレート化してるから、見やすくなったものだなと今更ながら自慢したくなる。

 教え子がいないときは、自分さえ見えればいいレイアウトだったからな。自分でもわからなくなることのが多かったけど、良かった良かった。

「……なるほどね」

 教え子の調査結果は半分はあってて、半分は間違ってた。

 人を信用しすぎてるという部分だろう。

「……こことここを」

 ヒントを入れて、何が違うかをアピール。

 あとはチャットで『あとで再確認 △ 惜しかったよ』と送るだけ。

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隠し子という教え子 バブみ道日丿宮組 @hinomiyariri

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