第11話 何が間違っていたのか

 確かにやっつけと言われればやっつけだ。でも、僕だって今まで見たアニメやマンガの知識は人よりあるつもりだ。知っている限りのネタを総動員して書いたのが今回の台本だった。


……未来から来た美少女アンドロイドと、現代の高校生の恋。


 アニメの番宣CMだったら、こんな感じだ。ありがちだけど、悪くない話だと思う。僕は僕なりに自信を持っていた。

 だが、センパイがケチをつけたポイントはそこじゃなかった。


「構成がなってない。だいたい、前半何にも起こんないじゃない」


 そんなはずはなかった。

 

 まず、少年とアンドロイドの説明をする。

 で、ふたりの恋が深まっていく。

 そして、周りの人が邪魔をする。

 最後に、アンドロイドが壊れて消滅する。


 こういう展開で書いたのだから、前半は「ふたりが恋に落ちる」という事件が起こっていればいいはずだ。


「だって、起承転結で書きましたよ。前半は「起」と「承」なんだから、アンドロイドと少年を紹介して、それから恋を詳しく描けばいいんじゃないですか?」


 これは口答えじゃなくて、反論のつもりだった。僕だってアニメ歴は長い。どんなふうに展開するのがパターンなのかは知っているつもりだ。

 だが、センパイは僕が信じてきたことをたった一言で全否定してくれた。


「アンタのは登場人物が延々と設定語り合ってるだけじゃない」

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