第4話 超ハイスペックな先輩のお説教

 さらに、いつの間にか台本の書き方や演出の方法まで身につけていたとなれば、去年、2年生になった時点で新入部員指導の最前線に立っていても不思議ではない。

 部の誰もが「……何でこんな底辺校に?」と言っている。

 そう、芝居の鬼……今日のかすみセンパイは、まさにそのオニの顔をしている。

「……ほら!」

「……痛っテえ!」

 椅子に投げ落とされた僕が何を言おうと構わず、上から目線でこう命ずる。


 ……座って話を聞け。アタシの話は終わってない。


 思えば、1年前の僕が甘かったのだ。

 キャストもスタッフも関係ない、厳しい基礎練習。

 夏場は汗で水溜りができ、冬場は全身から湯気が立つほどの筋トレ。

 早朝と放課後遅くまでの稽古。

 分刻み、時間厳守のスケジュール。

 遅刻には正座の罰則。

 僕には全く関係ないが、「部内恋愛禁止」という冗談のようなルール。

 入部して1年経って、僕は猛烈に後悔しているのだった。


 ……こんなはずじゃなかった、と。


 そして2年に上がった4月末の今日。

 僕は放課後の選択授業教室に呼び出され、ショートカットの似合う、可憐な安藤かすみセンパイの説教をくらっている。

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