第2話 僕のヘタレ遍歴

 エンゲキブ。


 別に僕は、演劇に興味があったわけではない。アニメやマンガには中1でハマって今に至るが。

 中学では園芸部だった。1年の連休でアニメにはまって夜更かしを覚え、早起きして学校の花壇に水をやることもないユーレイ部員のまま3年間。

 気がついたら、僕はスベリ止めの私立高にいた。

 偏差値は低く、学費は高い。学校までは電車通学。しかも乗り換え一回で1時間。定期代もバカにならない。

 そして僕は1年生1学期の中間テストで、学年最下位を取った。

 オヤジは何も言わなかったが、僕を国公立大学にやりたかったオフクロは激怒した。


「周作! お前って子は!」

 わざわざ学校まで押しかけてきたオフクロの相談を受けて、担任はキッパリこう言った。


「国公立合格はかなり困難です」


 確実なのは、定員割れ私大への指定校推薦。とにかく無遅刻無欠席で部活を3年間やって、点数を稼ぐしかないという。そこまでやれば校内の推薦条件は最低限クリアできる上に、ボーダーラインを0.1負けてくれる定員割れボーダーフリー大学はあるという。

 そんな事情で仕方なく選んだのがエンゲイブと一字違いの演劇部だったのである。


「めんどかったら途中で変われますよね、部活」


 そのときは、認められて当然の理屈だと思っていた。

 だが、担任は淡々とこう答えたものだ。


「部活を3年間続けたとは認められないな、そうなると」

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