【供養】美少女好きの美少女ちゃんが美少女アイドルグループに入って美少女に囲まれながら、美少女を眺めて楽しむ話。美少女多め!
皮以祝
第1話 プロローグ
美少女は好きですか?
私は好きです。
理由は、私も美少女だからです。
なんてね。
私は確かに美少女だけど、私が美少女であることと、私が美少女を好きである事は別の話。
私が美少女でなくても、私は美少女が好きだったはず。
多分、だけどね?
美少女として生きてきた私は、美少女じゃない自分を想像できない。
……まあ、美少女についてなんて、世界中の誰もが究明すべき真面目な平和のための最終問題は置いておくとして。
『休みの日は、ゲームとかしますね! 最近のゲーム機って凄くて、20年前とかのゲームでも、簡単に遊べたりするのがたくさんあるんですよ!』
『20年前っていいますと、ひなたさんは産まれたばかりの頃ですよね?』
『はい! もちろん最新のものも遊ぶんですけど、お父さんが子供の頃、買えなくてできなかったゲームとかを、休日に一緒にやってるんです!』
『昔のゲームと言えば、『電蟲大戰』って言うのがあってなぁ……兄が買ったゲームしかないもんですから、ずぅっとそればっかりやってましたわ』
『あ、『電蟲大戰』! それも、やりましたよ! お父さんと騒ぎながらやってたら、お母さんにうるさいって叱られましたけど!』
『一緒にゲームをやれる娘か……羨ましいなぁ……』
『林道さん、娘さんいらっしゃるじゃないですか』
『最近は、なかなか――』
やっば、すぅっごい使われてる!
テレビを流れているのは、この前、私が出たバラエティー番組。
その前に出演した番組のアドリブの所は、ちょっとカットされてたけど、今回は、ほとんど使われてる!
やっぱね~、私みたいな、美少女は、たっくさん使った方が視聴率、撮れるだろうしね!えへへ。
「これは、自慢しちゃおっかな~? おか~さ~ん!! こっちきて~!!」
まだ、下の階でテレビを見ているはずのお母さんを呼ぶ。
「おか~さん? お~か~あ~さ~……」
「……うるさいっ!」
ドタドタと階段を上る音、そして私の部屋の前で音が止むと同時に、勢いよくドアが開けられ、お母さんが怒鳴りこんできた。
なんだいなんだい。
娘の晴れ舞台の報告じゃぞ?
胴上げくらいしようよ。
「見て! 私っ! 大・活・躍!」
テレビを指差しながらウインクを一つ。
うん、今も可愛く映ってる!
テレビを通さずとも、普段からかわいいんだけどねっ、私!
「もう何時だと思ってるの! さっさと寝なさい!」
「へ~ぃ……」
ちょっと本気でおこみたいなので、テーブルの上のストゼロを開けて、一気に飲み干した。
やっぱこれだよこれ。
ストレスゼロの名に恥じない働きじゃ〜……
そして、お母さんの言葉に従って、素直にベッドに潜る。
お酒ぱわーで体ぽかぽか、おふとんもきもちいい。
すぐに睡魔ちゃんに襲われた私は、意識をぽいっと投げ出した。
☆☆☆
私は、
NexsiSは、3か月前に正式に活動を開始した、新進気鋭の7人『
事務所が一緒だったり、元々あったグループの名前を借りるためとかで、姉妹グループとか、兄弟グループとか呼ばれるものが存在していることは、聞いたことがあっても、メンバーの関係を『姉妹』という設定で、活動しているグループはなかなか珍しいんじゃないかな。
「えいか姉ちゃ~ん!!」
私たちは、日本中が羨む仲良し美人姉妹。
お互いを家族のように呼び合う、その仲の良さは全世界に癒しを提供し続け……
「はい? なんですか?」
えいか姉ちゃんは、読んでいた雑誌から目を離し、私を一瞥した。
そのまま無言で、じ~っと私を見続ける。
私も髪、もっと伸ばそうかな?
「えへ、呼んでみただけ~」
「……そうですか。用があったらまた、話しかけてください」
裏だとこんな感じ。
ちょっと冷たいかなとも思うけど、普通に嫌いじゃない。
何せ、美少女。
美少女は、何もかも解決する。
「やよいちゃん! 何食べてるの?」
ターゲットを、次なる美少女ちゃんへ変更。
パイプ椅子に座りながら、おにぎりを頬張っている女の子に声をかける。
「……んっ、見ての通り、コンビニのおにぎりです」
口の中のものを飲み込んだ後、答えてくれる。
一つのおにぎりを両手で持って、口を動かしている姿は、その小さな身体と相まって小動物のようで庇護欲をそそられる。
かわいいね。
餌付けしたい。
私に話しかけられて、急いで口の中を空にしようしているのに、若干の申し訳なさを感じるけど、かわいい、100点。
口の端におべんとくっつけてたら、さらにグッド、10000点!
「おいしい?」
「普通です」
「そっか~」
「はい」
言葉の一つ一つで癒してくれるこの子は、ガチレズ疑惑のある、『やよい』ちゃん。ちなみに六女(の設定)。
本人は特に何も言ってないけど、私の尊いレーダーにビッ、ビビッ、ビービービィィィッッッときた。
「あ、多分この子、えいか姉ちゃんにガチ恋してるな」って。
「なんのおにぎり?」
「いつも通りツナマヨおにぎりです」
美味しいよねツナマヨ。
やよいちゃんがおにぎり食べてる毎に聞くけど、毎回ツナマヨって言われるし。
色々、浮気しても結局ツナマヨに落ち着くもんねツナマヨ。
ツナマヨツナマヨ。
我らこそ、真のツナマヨの民。
やよいちゃんのためにツナマヨ以外のおにぎりは私が食べてあげるね。
「どこで買ってきたの?」
「すぐそこのセブンです。ひめりさんと寄ってきました」
やよいちゃんの言葉で、視線を動かし、ひめりちゃんを横目で見る。
『ひめり』ちゃんは四女(の設定)。ひめりちゃんは、えいか姉ちゃんと同じくしっかり者で、『Nexsis』のグループの公式SNSのアカウントの管理などをしてくれてる。
新たなファンの獲得やファンの人たちに飽きられたりしないために、私達の舞台裏の姿の写真などを公開してる。
もちろん、公開していいやつだけなんだけどね。
ダメなのは、そもそも写真に撮らないし、残さないか。
それって舞台裏なのかな?
表舞台?
それにしても、私も一緒にお菓子買いに行けばよかったな~。
混ざるより眺めてた方が楽しそうだけど。
陳列されてるお茶……レジ前のちっちゃいチョコとかの方がいいかな?
レジ前なら会計なんかがあって、長い時間、ご尊顔を……いや、待って!
最近はそこまで会計に時間かけないよね。
なら、飲み物を迷っている時間の方が長いかも……?
うん、片目ずつ頑張ってもらおう。
「やよいちゃんって、あんまりお弁当食べないよね」
私達には、レッスンのみの日であっても、一人一人にお弁当を用意されている。
私も含めた6人はお弁当を食べているけれど、やよいちゃんだけは、お弁当を自分のバッグにしまって、その代わりにおにぎりを食べていた。
「……前にも言ったかもしれませんが、動く前にあんまりお腹に入れておきたくなくて」
午前中はボイスレッスンをして、この後はダンスレッスンをする予定がある。
激しい動きも多いし、かなり長時間の予定になっているので、食べ過ぎると戻してしまうこともある。
ちなみに私は、一番最初の、NexsiS全員で初めて練習をする、って時に吐いてしまって、かなり気まずかった記憶がある。
その日も、今日みたいな一日中の練習で、ほんっとうにきつかったんだよね。
私一人で練習している時ならよかったのに、ほぼ初対面でマーライオン女みたいに思われてたかもしれない。
あの時ほど、ろくに運動もしていなかった過去の自分を呪ったことは無い。
「でも~、やよいさんはぁ、いっつもお弁当持ち帰ってますよねぇ~?」
「わこさん……」
いつの間にか別の美少女ちゃんが、頭の大きな赤いリボンを揺らしながら、やよいちゃんの顔をのぞきこんでいた。
「家だと大食いだったりして~? デブって迷惑かけないでくださいねぇ~?」
ちなみに、『わこ』ちゃんは、一番下、七女(の設定)。明るい年下キャラって感じで、現場では関係者にもかわいがられてるし、実際、かわいい。
でも、かれぴっぴぴぴがいるんだよね、しかも、別事務所の男性アイドル。
その人に実際に会ったことは無いんだけど、わこちゃん曰く、かっこいいらしい。
休憩時間とかに、惚気話をしてる。
その時のわこちゃんは、普段とは違ったかわいさがあってよき。
もちろんというか、私達の事務所は、多くのアイドル事務所がそうであるように、交際相手を作ることを禁止している。
でも、わこちゃんは、バレないと思っているのか、バレても問題がないと思っているのか、私達の前で普通に話をする。
他の人には一切知られないっ!絶対に隠し通す!って決意でやって~、とは思っちゃう。実際、他の皆は、いるのか、いないのか、わからないしね。
ただ、百合カップルがいないのはどうなの?女アイドルグループだよね?
そういう人たちもいると思っていたんだけど、今はまだ予備軍だけだね。
というわけで、頑張れ、やよいちゃん!
『NexsiS』の百合担当は君にかかってるっ!!
ふぁい、おー!
「……?」
私の熱視線に、おにぎりを齧りながら、首をかしげていた。
かわいいね。1000000点。
☆☆☆
「ななさん、今の箇所は、もう少し腕を真っすぐ、大きく広げて」
「はいっ!」
ダンストレーナーの
ななちゃんは、よく会話したりするので、多分、このグループ内で、一番仲いい子!
私はみんなと仲良くしたいんだけどね!
「ひなたさん、集中する! 遅れた!」
「はい!」
いけない、いけない。
個人での練習ならともかく、今はトレーナーの手縫さんが来てくれてる合同練習。
私が躓くと、グループ全体がストップしちゃうから、集中しないと。
「ひなたさんは、どうにも集中力が……」
「すみません!」
怒られるのも慣れてきた。
レッスン中以外だと、愛……愛妻家の反対ってなんて言うんだろ?
振付師している旦那さんと仲いいらしいんだよね。
休日はいろんなコンサートとか見て回ってるとか、幸せそうに話してくれる。
「じゃあ、今のところをもう一回……はい!」
手縫さんの「はい」の言葉と、同時に叩かれ始める手拍子に合わせて、私達は動きを合わせる。
ちなみに、服装はバラバラ。
私は、高校の時のジャージだから、左胸の所に苗字の刺繍が入ってる。ジャージ組は、私とえいか姉ちゃんとひめりちゃん。
私も、市販のやつ買った方がいいのかなぁとも思ってるけど、まだ使えるし。
高校生時代を支えてくれた相棒……
このまま果てまで付き合ってね!
「わこさんも、ちょっと遅れてる」
「ごめんなさ~い」
靴と床の擦れるキュッという音が重なった時は、気持ちがいい。
でも、合ってない時も、如実に分かってしまう。
☆☆☆
「ありがとうございました!」
「ええ、お疲れ様」
手縫さんにお礼をいい、レッスンが終わった。私と鞄を並べていたななちゃんに近寄り、声を掛ける。
「おつかれさま~!」
「おつかれ」
返事の後、ペットボトルを口に含み、流れる汗をタオルで拭いてる姿は、テレビで見るようなアイドルの練習風景の一瞬のようで、本当にきれいに見える。
このままCMにしちゃえばいいんじゃないかな?
「なに?」
「タオルくれないかなって」
「はいはい、ひなたも風邪ひく前に拭いたら?」
隣に置いてあった私のバッグの上から、タオルを取ってくれる。
本当に優しさに溢れていて。
……ワンチャン?
「ななちゃんの汗付きでもいいよ?」
「私が良くないわ!」
「ぶっ!」
投げられたタオルが顔にぶつかって、胸に乗っかった。
「ななちゃんは、いい匂いだよ?」
「いつの間に嗅いだ!?」
ダメみたい。
レッスン後でただでさえなのに、つっこませ過ぎると、さらに疲れさせちゃうから、やめておく。
ななちゃんとは、軽口も叩けるのになぁ~。
「というか、レッスン前のミーティングで、
「あっ、忘れてた!」
ななちゃんの言う『海渡』さんは、私たち『NexsiS』のプロジューサー。
海渡が苗字で、名前が
名前の方は女っぽいから、苗字の方で呼んでくれって言ってた。
「ま、ちょっとくらい待たせてもいっかぁ」
「良くないでしょっ」
ぽふっ、とタオルで頭を叩かれた。
……
「な、なに? じっと見て……そんなに痛かった?」
「もう一回来ないかなぁって」
「……」
「もういっかい! それ、もういっかいっ!」
「早くいけ!」
「は~い」
タオルを首に巻いて、ペットボトルはバッグのポケットに入れる。
ななちゃんとなら延々……いや、永遠に話せちゃいそうだけど、仕方ない。
行きましょうか。
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