逆ハーレムもの乙女ゲーに悪役として転生したら、なぜか俺が逆ハーレムを築くことになってしまった件
もち
第1話 終わりの始まり
『ドキドキ魔法学園物語』通称『ドキ学』は、ヒロインが転校先で数多の男たちと出会いながら、恋に魔法にと学園生活を謳歌するゲームだ。因みに攻略対象は脅威の三桁に上る。
だがそれだけが売りではない。このゲームは攻略対象全員エンドを迎えたセーブデータのみ到達できる、三桁の男との逆ハーレムエンドが存在する。
さて、なぜ男の俺が対して興味のない乙女ゲーについて詳しいかって?それはだな……乙女ゲーの覇者である姉に脅されてプレイさせられたからだ。
乙女ゲーを愛して止まない姉は、『ドキ学』の全員との逆ハーレムエンドを狙ってプレイした。しかし一周が長すぎる上に周回を重ねることは、社会人の姉には辛く厳しいものがあったらしい。
そこで現在ニートの俺に白羽の矢が立った。ニートとは言え、職探しの時間をタダでゲームに充てる訳にはいかない。そこで一キャラクターとのエンドで二万、逆ハーエンドを迎えたら十万円の契約を結んだ。
そして苦節一ヶ月。
「お、終わった……」
ついに俺は三桁の男どもとの逆ハーエンドを迎えることが出来た。手に持っていたコントローラーをテーブルに置いて、キンキンに冷えたビールを開ける。
ようやくこの地獄から解放されると思うと、祝杯のビールが美味すぎて泣ける。ああ、達成感が心地よすぎる。この感覚は徹夜でエナジードリンクをキメながら働いていた時以来だ。
「っはー!こんなに美味いビールは久しぶりだ。あ、そうだ姉さんに報告しておかないと」
スマホを手に取り、依頼主である姉に電話をかける。十コール目で出てくれたが、不機嫌丸出しだ。
「ちょっと、仕事中なんだけど……」
「全クリした。 お望み通り逆ハーエンド迎えたぞ」
「マジッ!?ありがとう!さすが自慢の弟!愛してる!」
「ふふっ、煽ててもなにも出ねーぞ」
電話越しにめちゃくちゃ喜んでいるのが伝わってきて、なぜか誇らしく思ってしまう。エンドロールを眺めながら姉からの感謝の言葉を聞いていると、『まだこの世界でプレイを続けますか?』というテキストが出てきた。
「姉さん、このゲームって隠しエンドとかある?」
「どうして?」
「今エンディングを見終わったんたんだけどさ、選択肢が現れて隠しエンドにでも繋がってるのかなって」
「どんな選択よ」
「『まだこの世界でプレイを続けますか?』って」
「ふーん……まぁ、そのゲーム逆ハーエンドですら迎えた人はいないぐらいだし、その先があってもおかしくないかも」
一理ある。攻略のために様々なサイトを巡ったが、全キャラの攻略が乗っているサイトは一つもなかった。逆ハーエンドだって有志からの情報ではなく、開発者からだって姉が言っていた。ならその先の隠しルートとエンドがあっても不思議ではない。
「姉さん」
「なに?」
「先にこのルートやってもいい?流石にここまでやってきたから気になる」
「いいわよ。それはあんたが掴んだものだし、サクッとやっちゃいなさい。私は週末にゆっくり楽しむから」
「ありがと。じゃあお言葉に甘えて」
【まだこの世界でプレイを続けますか?】
→はい
いいえ
真っ白な背景に浮かぶ選択肢を選んだ瞬間、強い光に襲われる。目を開けられないほどの光と共にやってきた強い眠気。
それらに抗うことも出来ず、俺は気を失ってしまった。
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