地図にない山

第1話 冒険

｢久阪山登山道」

山の麓に設置されている古い登山道を指し示す看板を過ぎるとようやく久阪山に入る。

なお、久阪山は地図にしっかりと記載されており、市の観光協会が作っているホームページにも久阪山について写真などを用いて、掲載されている。

地図に載っていないという山はここから。

久阪山の中腹まで登ると謎の道がある。片方には久阪山山頂の案内看板が麓と同様に設置されているものの、謎の道には案内看板が無い。

謎の登山道も、整備されており登りにくい印象は無く、小さな子ども達でも余裕で登れるような道。

ただ、看板の無い登山道に迷い込んでしまうと｢最悪帰れなくなる」という噂が流れている。

この登山道に迷い込んで、かなり進んで(登って)しまうとたちまち電波状況が悪くなり、GPSも謎の誤作動を起こすようで、遭難しても救助を要請するのが困難を極めてしまうらしい。

この事態を受けて、市も対策に乗り出して久阪山の中腹と麓に注意書きの看板を設置したが、効果は見られず。

そして、麓と中腹に設置されていた看板もいつの間にか消えていた。

ネットでは｢これが噂の山だ！」｢すごく奇妙な話だな」などといった声が出ており、興味本位で訪れた者までもが行方不明となった為、現在は久阪山ごと立入禁止となった。