第12話 初クエスト その1

異世界二日目



「うーん、いきなり討伐クエ依頼されたけど良いのだろうか?」


 黒パンと野菜スープの朝食済ませて冒険者協会で本日の初心者向け依頼書ボードを物色してたら昨日の狐顔の受付の女性が俺に手招きして呼ぶのに気づいた。

 どうやらキノコ森にて冒険者PTを助けた事からある程度の実力者だと言う事で

メンバー募集してるPTと組んでクエストの手伝いをしないかとの斡旋あっせんらしい。

PT募集と言う事は採取や採掘じゃないよね、生産職の素材採取の際の護衛とかも有るらしいけどランクEの駆け出しを護衛に回すのは依頼者も不安じゃね?


その事を質問すると昨日知り合ったPTが回復役の神聖魔法持ちを探しているとのこと。討伐クエストはPTランクがその依頼に適正ランクに達していれば臨時PTにランク下のメンバーも入れてクエストを受注することも可能とか。


クエスト受注にはソロランクとPTランクと言うのが有って

ソロランクはそのレベルに達していないと受けられないのが原則であるが

時として特定のモンスターを倒すことが条件のクエストとが有り、ソロでクリアするのが時間かかる場合は臨時PTを組む事でモンスターと戦い、条件満たすことで次のステージに進む仕組みとか。

 これはPTの固定化が進む事で新規の冒険者が足踏みするのを避ける意味合いが有るらしい。つまりEランクの新人を1ランク上のPTと組ませる事で成長させる狙いがある

 最初から一緒にPT組んで始められる縁があれば良いが、ソロで始める者が少なくない事を意味する。



 ゲームではギルドメンバーが新人を連れてレベルあげする、いわゆる「パワーレベリング」てのが有るがレベル差が20以上開いているとレベルが上のキャラがモンスターを倒しても下の者に経験値が入らない仕様だったがこの世界ではどうなのだろう、自分は回復役に徹して戦う事は彼らに任せるのが正解だろうか。


経験値がモンスター倒した事で固定数値で各人に入るのか、人数分で割られるのかも気になる。ダメージ与えた比率でそれぞれの得る経験値が異なる仕様のゲームもあるが、それだと補助魔法付与や回復役は不遇職となり、なり手が居なくなるのは自明の理である。

モンスター斃した経験地値が総数で固定でPT人数分で割る形だと彼らに入る数値が減り、俺が「寄生」する形になるのは避けたい

(新人のヒーラーで戦闘で火力貢献しない職なら仕方ないが、中身が高レベル職で初期狩場卒業した身だと元のゲームなら『姫プレイ』と揶揄される事案である)


まぁ、この心配は「ゲームである」と感じているから生まれたわけで杞憂で有れば良いが……


*************************************


協会1階ロビーの左側ブース、冒険者PTの打ち合わせ用区画で彼らは待っていた


「どうも、先日はありがとうございました。」


俺が近づいてきたのに気づいて座っていた椅子から立ち上がり、メンバー全員が俺に向かって頭を下げて先日の礼を述べた

うむ、ランクが下の相手にもちゃんと挨拶できる子は好きだぞ、ゲームでは相手のレベルが自分より下だと相手が年上でも舐めた口利きするプレイヤーが一杯だったので新鮮な気分になる、まぁ俺も自重しないといけないが


「こちらこそよろしくお願いします、昨日冒険者登録したばかりなのでこの国での狩りとか生産職業とか教えていただけるとありがたいです。」


そうなのだ、基本レベルは俺は120越えなのだがそれはゲームでの話

鳥瞰視点での戦闘は慣れているがFPS(第一人称視点)での戦闘はド素人と言ってもよい。それに魔法戦闘スキルだけ収得しているので狩った獲物の解体や素材採取、野営とかの冒険者に必須な技術を覚えていないのだ


彼らは戦闘スキルだけでなくサブスキルとして生産技能も持っている、その道では先輩である。この世界で知り合えた縁を活かしてサバイバル能力伸ばしていかねばならない。


閑話休題それはさておき


クエストの依頼内容聞いて唸ってしまった

【月影湖のモンスターから魔石採集】これはゲームの『イベントクエスト』である


その内容は『泥蛙マッドトード』から水属性魔石、『熊虻ベアフライ』から風属性魔石、『岩蟹ロッククラブ』から土属性魔石それらを10個ずつ採集するクエスト


俺個人としての難点はゲームでは倒せばドロップアイテムはインベントリに自動的に入る仕組みだったのが解体・採集スキル無いと得られないと言う違い


そしてこの世界の冒険者で解体・採集スキル持つ彼らでも魔石が必ずしも取れるわけではないと言う点で、運が良くて5匹倒して1個、運が悪いと20匹倒しても出てこないという確率の低さ

 クエストの有効期限が3日間と言うのがドロップ率低い事を物語る。指定された数倒せばクリアとなる「普通の」討伐クエに比べて難度が高いと言えるだろう


その見返りとして成功すれば騎乗用動物を与えられるのだから悪い話ではない

まぁ、初心者用クエの景品だから店で売られている騎乗用動物より速度は落ちるが

店売り騎乗動物はレベル20からのものしか売られていない。

イベントクエスト報酬乗り物はレベル制限なしで騎乗できる

徒歩移動の約二倍の移動速度(時速10km相当)なので手に入れれば行動範囲は格段に広がる


狩場と街を往復しても良いのだが往復に要する時間をかんがみるに{野営キャンして狩りと採集することなり、野営用装備(寝袋や食器、解体用ナイフetc)を購入して向かう事とした。



 効率を考えれば俺が集めてまとめて範囲魔法撃てば手っ取り早いがそれだと彼らには経験値はほとんど入らないし俺にもレベル差で一桁も多分入らない。


補助魔法付与バフも掛けて良いのだが、適性狩場で格上の補助掛けるのはあまり薦められる話ではない。

1対1で互角からやや優位で戦う狩場で高位付与補助受けると何の苦労も無くサクサク一方的に獲物を狩る立場となる。

その場だけで見れば良い事ずくめに思えるが

最初からそうするのは戦闘技術を磨く機会を摘むスポイルする事ととなる


「相手からダメージ受けず、動きが機敏になり、攻撃力上がって容易く倒せる」

それは戦士に油断を生むもとであり、補助が切れればそれがマイナスに転じるのだ。「自分の動きが重くなり、回避するタイミングがつかめず、敵の打撃がさっきまでの何倍も感じ、自分の攻撃は当たらない、当たってもさっきまでの半分以下のダメージしか与えられない」


もちろんPTプレイなのだからPTの回復役や補助役に何もするなと言うわけじゃない


「適正レベルの補助を掛ける」


この事を理解した上でレベル2程度の補助を受けるかレベル5の補助の感覚を受けることに頼り切らない覚悟ができるかの話である


一度甘い感覚を覚えてしまって、以後仲間の補助に不満を感じる事となるとPT崩壊の危機となる




彼らにそう念押しして月影湖に向かった



===============================================================================





ちなみに各種属性魔石はこのイベントクエスト受けたときしか出ません

それ以外の通常狩りでは低確率で魔石として『宝石の欠片』が出ることとなります

『宝石の欠片』はキノコ森のマタンゴから紫水晶アメジストが出ましたね

月影湖で出る宝石の欠片はターコイス、エメラルド、トパーズ、ルビー、ガーネットです


その他防具や武器の素材、料理材料が出ます(こちらの方が多いですがダメージ多すぎるとグチャグチャと言う事で買い取り不可の場合もある)

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る