第67話正体(3)

 アレクシスは目の前の光景に魅入った。


 瑕疵ひとつない滑らな真珠のような肌。あると思っていた肩幅は今、薄くて頼りない。しなやかな背中から、きゅっと細くくびれた腰。その下に続く、丸みを帯びた形のよい柔らかな双丘。そしてそこからすんなりと伸びた長い手足。


 どれも眩しいほどだった。射し込む光を受けて、肌が余計に透き通るようにみえる。この世のものとは思えないほど美しかった。


 晒しを巻いている間、少しだけ横から覗く柔らかな膨らみもまたなんとも言えず、艶めかしかった。


 少しも目が離せないまま、クリスティーナが晒しを巻き終わり、シャツの上から上着を羽織った。


 そうすると、いつもの見慣れた体格に戻る。


 あの上着に騙されていたのかと、今までの自分に歯噛みする。


 美しい肢体が服によって隠されていくのが惜しくて、着終わるその最後の一瞬まで、アレクシスは凝視し続けたのだった。

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