ストーリー155~158

ストーリー155:それぞれの解析内容確認


登場人物

ラムル、ジャン、カウル、ポートル、ガット、ガルシア、バンズ、ルイス、ジック、ブロント(回想)、ブロントの父(前長官、声のみ)



 カーラント内メインルーム。カウルが記憶回路を解析中。

横でラムルとジャンが見守る画。


 ラムル「カウル。どんな情報が入ってる?」

カウル「通信用周波数判明……。他は画像データの様です……。解析中……。太陽付近の物体の位置情報判明……。画像データは解析中……。複数の設計図等のデータもある様です……。解析進行中。」

ラムル「ジャン。カウルの解析が終わったら直ぐに同期してね。その後マーデクトに転送よ。」

ジャン「了解、ラムル様。」

カウル「画像データ解析終了。複数の設計図の解析中……。」


 ラムル独り言off「かなりの量のデータなのね。画像や設計図まで……。グランは何を求めてこれを送り出したのかしら……。」

カウル「設計図の文字を翻訳中……。まもなく終わります。」


 記憶回路には、通信用周波数、謎の物体の詳細画像、太陽黒点の異常画像、現時点での物体の位置情報、HMの両腕の様々な設計図、提供を希望するシールドの設計図のデータが入っていた。


 ジャン「ポートル様からの通信です。繋ぎます。」

ポートルoff「ラムル?どう解析は?」

ラムル「ポートル?まだ解析中よ。あと少し、終わったら転送するわ。」

ポートルoff「了解。」

ガットoff「ガットです。こちらも聞こえてます。了解しましたー。」


 ラムル「カウル?どうかしら?」

カウル「今解析終了、転送用に圧縮しますか?」

ラムル「待って。……ジャン、カウルと同期。……カウル?圧縮するほどの量なの?」


 しばらく沈黙、同期が終わり、


 カウル「圧縮してからの転送の方が早いので。」

ラムル「じゃあ圧縮したらそのままマーデクトに転送お願い。ハンジャにはジャンに送ってもらうわ。……ジャン、データをハンジャに転送しといて。」


 ジャンはモニターテーブルに寄ると転送を始めた。


 カウル「転送完了しました、ラムル様。」

ラムル「カウル、データは解凍状態で保存。それからハンジャに連絡して。」


 ポートルoff「こちらマーデクト。圧縮データで来たけどかなりの量ね。こっちもこのまま転送するわよー。」

ラムル「お願いねポートル。後でデータ確認で連絡しましょ。」

ジャン「転送完了。……ハンジャへ通信します。……。……応答来ました。」

ガットoff「こちらハンジャ。データ量多いですねー。……それから、カーラントはまもなく補足出来ます。」

ポートルoff「ガットのハンジャは早いねー。」

ガットoff「あ、ポートルさん。……って事は通信は開けておくんですね?」

ポートルoff「モニターテーブルのは、通信が届く船は開けといてねー。」

ラムル「そうよ、ガット。誰かさん、すぐ意地悪言うのよー。よく聞いててねー。」

ポートルoff「ラムル!それじゃ私が意地悪お姉さんみたいじゃないかー。」

ラムル「ごめんごめんポートル。それよりデータ解凍して内容を確認してね。」


 各ポイントの面々はそれぞれデータを確認中。


 ミクラット内……。


 ガルシアoff「通信周波数に……位置情報。これは太陽付近かな?……それから……画像……!こ、これはG15?……。た、太陽が黒くなってるじゃない!……次は……これは人型の設計図や詳細データね。……一体G15が太陽に何をしてるのかしら……もしかしたらそのせいで太陽が変色して見えるんだわ!」


 バンズのドック内メインルーム。


 バンズoff「こ、これは!……太陽が欠けて見えるなんて……ひどい。このままじゃ太陽が輝かなくなるよ!……それで?こっちは人型の設計図や詳細データか。これはもうここに有るよ。……ん?これはシールドの設計図⁉︎……こーんなカッコつけたシールドでも、人型が弱っちいんだからダメじゃん……ん?シールド提供を希望してる……。……なんかアタイの見込み設計よりサイズが小さいなぁ……強度、だいじょぶかー?」


 マーデクト内……。


 ポートルoff「周波数……OK―。……ん?この画像はノアーナでよく耳にするG15じゃない?……太陽が……私達が地球から見た太陽はまんまるで眩しかったのに、黒く欠けて見える!……これはかなり深刻なんじゃない?……それから?……人型の設計図に詳細データ……これは分からないからバンズに任せよ。」


 人それぞれの解釈が垣間見えて、また討論会になりそうだが、そんな時間の余裕はなかった。


 ハンジャ内メインルーム。


 ルイスとガットが確認中の画。


 ルイス「通信周波数っていっても、どこに飛んでくのかが不明じゃない!近くじゃなきゃ無理よ。……よっぽど慌てて作ったデータなのね。」

ガット「この画像、奥の恒星は?」

ルイス「それは太陽って呼んでるらしいわ。ねぇ、この暗い部分は何⁉︎恒星ならここだけ温度が低い部分なの?……。」

ガット「そうですね。恒星の見た目から、温度差が有り過ぎてこのように見えているみたいです。これは周りの惑星にとって影響大ですね。……これは人型の設計図や詳細データ……。関節はしっかり作られてますね。装甲はちょっと重そうですが……。」

ルイス「設計図は最近バンズにも教わったけど、その、しっかりとか、重そうとか。よく分かるわねぇ。」

ガット「メカの関節部分は良く設計してると思いますよ。気になるのは、重そうな装甲。全ての装甲が厚い点がネックです。多分それは地球で硬い金属が希少なのか、それとも全く無いか……それを設計で補っているといった感じに見えますね。……ノアーナのウロムナ金属は硬いので、フローターや宇宙船の外装装甲は厚みを持たせなくても強度が保てますが……。」

ルイス「そうなのねー。じゃあジックみたいなAnn達は?」

ガット「全部ウロムナ金属です。ノアーナじゃウロムナのみしか作ってませんし、それ以上の金属が無いからだと思いますよ?Annは最小限の厚みに抑えて、動きやすく作ってあるのが一般的。」

ルイス「ねぇジックー。一旦オートに切り替えてこっちに来て。」


 コクピットからジックがやった来た。


 ルイス「ジック、ちょっと触らせてね。」


 ルイスはジックの外装の厚みを確認している。


 ジック「私の外装は旧タイプです。」

ルイス「ジックはこの厚みで十分なのね。昔から一緒なのに気にもしなかった。それにこの子は解体されずに済んだしねー。……。」


 ふとルイスは自宅ドックのケイドとジックを思い出した。


 そしてジックの中のメモリー画像の最後の1枚を…。


 画面はその画像の回想。


 2人に画が戻る。


 ルイス「ガット、話の途中ごめんね。ミクラットのガルシアと話をしたいから通信させてね。」

ガット「ええ、僕は構いません。この設計図見てますから。」


 ガットの横でマーデクトに通信した。


 ルイス「マーデクト聞こえる?」

ポートルoff「はい、解析確認の話ですか?」

ルイス「ごめんね、ポートル。1つお願いが有って。ガルシアに伝えて。メインシステムの中に昔のジックの映像(動画)が残ってると思うのよ。それを転送するよう頼んでくれるかしら。」

ポートルoff「分かりました。この内容転送しますね。」


 ミクラット内へ……。


 ポートルoff「ガルシアさん、聞こえますか?」

ガルシア「あら、解析内容確認?」

ポートルoff「じゃなくて別件です。ルイスさんから、メインシステムに昔のジックの映像データが残ってるはずだから転送してくれと言っていました。」

ガルシア「了解、ポートル。調べて送るから少し待ってて。」


 メインシステムのメモリーデータを検索しているガルシアの画。


 ガルシア独り言off「へー、ビデオデータも残っていたのね。ずいぶん古い日付もあるわ。あの子達、システムにちゃんと残していたんだわ……。これは私も帰ってゆっくり見てみようかしら。」


 言いながら転送する。


 ポートルoff「ガルシアさん、このデータを転送ですね?」

ガルシア「そう、お願いねー。」


 一方、ガルシアからの転送を待っていたルイス。


 ルイス「入ってきた。……ほら、ジック。これはあなたのビデオデータよ。ちゃんとミクラットに残しておいたのね。これはしっかりメモリーしておいてね。……あ、有った。最後の日付の録画……。これだわ。……ジック、メモリー終わったらコクピットに戻って操縦をお願いね。」

ジック「了解、ルイス様。」


 モニターにはジックの目線の映像。あの時見た技術者達に囲まれている画像と同じものだ。


 技術者達を割って入って来たブロント。


 前に見た画像の1枚はこの1コマだ。


 ブロント「頼む。ジックの初期化はやめてくれ。お願いだ。……せめて、せめて航行データのみにしてもらえないか。」


 ジックが抱えられているようで、技術者達の顔辺りしか映っていない。ブロントはまだ続けている。


 ブロント「ケイドの解体はやむを得ないと思っている。……が、もう一度言う!ジックの初期化だけはやめてくれ。頼む。」

ブロントの父(当時の長官)off「やめないかブロント!。Annを下ろしなさい。もうこれは決定した事だ、諦めろ。」

ブロント静かに「……取り乱し、申し訳ありません父上。……ただ、明日ルイスに会わせた後の実行にしてください。お願いです。」

ブロントの父「……分かってもらえたならいいだろう。……ならば明日、ケイドの解体、及びこのAnnに初期化を実行する。いいな?ブロント。」

ブロント「ありがとうございます。父上。」


 ジックの目線が最初の高さに戻る。そこには深々と頭を下げているブロントが映っていた。……それからまもなく映像が切れた。


 ルイスoff「ブロント……あなた、あの時は……。……これはラムルにも見せておくべきよね……。」

ルイス「あ、解析内容確認したかしらラムル……。カーラントに連絡しなきゃ。……こちらハンジャ、カーラント聞こえる?」

ラムルoff「はい、母上。解析内容は確認しました。まもなくハンジャと合流ですね。その時にまた……。」

ルイス「あら?もう近くまで来てるのね。うっかりしてたわ。……そうね、カーラントと並んでからまた連絡しましょ。」


 ディゾルプ。



ストーリー156:内容検討の転送リレー


登場人物

ルイス、ラムル、ポートル、バンズ、ガルシア、カウル



 カーラントに追いついた俊足ハンジャ。


 ルイス「こちらハンジャ。ラムル、カーラントに並んだわよ。このまま併せて航行するわね。」

ラムル「了解。ハンジャは本当に早いわね、母上。」

ルイス「そうね。悔しいけどケイドより遥かに速いわ。……ところで、メッセージ衛星に関しての意見はまとまった?皆んなで今後どうするか、早く決めなきゃ。」

ラムル「まだ考え中なの母上……。バンズの方から意見をリレーして欲しいな。皆んなの考えを参考に私も考えてみたいの……。」


 通信を聞いていたポートルの応答。


 ポートルoff「ラムル、了解したわ。バンズから順に送ってもらう。」


 その後、ミクラットへ。そしてバンズのドックに転送されてきた。


 ドックのメインルームではバンズが考えている。


 バンズ独り言off「グランはウロムナ金属の欠片の強度を知って、ノアーナ製のシールドを求めている……。どれだけの数が必要なのか肝心なとこが抜けてるじゃん。……ノアーナの誰に協力してもらったら叶う事?……簡単な作りのシールドなら直ぐ出来そうだけど……。アタイはこの辺りが重要かなぁ……。これでガルシアさんに話そう。」


 モニターテーブルに構えるバンズ。


 バンズ「こちらバンズ。ガルシアさん、アタイの考えを伝えます。……グランは、ノアーナの金属製のシールドを求めているけど、どれだけの数が必要なのか?……この計画は一体誰に協力してもらったら叶う事なのか?……簡単な作りならアタイでも直ぐ出来そうだけど。……こんな感じです。」

ガルシアoff「分かったわ。地球の金属よりウロムナの方が断然強度は高いものね。私としては、やはり向こうの希望をはっきり聞きたいところね。……じゃあこのまま転送するわ。また連絡待ってね、バンズ。」

バンズ「了解。」


 ポートルoff「こちらマーデクト。聞いてたわ、ガルシアさん、バンズ。転送リレーするわ。じゃ、また連絡待ってね。」


 マーデクト内メインルームのポートル。


 ポートル独り言off「私もガルシアさんと同じ意見。グランの考えを聞いてみなきゃ先へ進まない。……よっしゃ!」

ポートル「こちらマーデクト。カーラントにハンジャ、聞こえる?バンズやガルシアさんの意見を転送したわ。……私もガルシアさんと同じ意見。グランの考えを聞けなきゃ先へ進まないと思う。そちらで検討して折り返し連絡お願いします。」


 カーラントで連絡を待っていたラムル。


 ラムル「こちらカーラント。母上、どう思いますか?私はまず送られてきた周波数を地球にピンポイントで送信がいいのかなって思ってる。」

ルイスoff「こちらハンジャ。皆んなの意見からも、まずグランさんに連絡してみなきゃ。……そのピンポイントでってのは地球辺りの位置に向けてって事よね?まもなくポイント3だけど、まだまだ遠いような気がするのよねぇ……。」

ポートルoff「ポートルです。ルイスさんの言う通り、まだ遠いと思うわよラムル。」

ルイスoff「ポイントをそれぞれ移動しましょ。ポートルとガルシアは移動開始でお願いね。」

ポートルoff「了解、移動開始します。」


 聞くだけのラムルだったが、


 ラムル「ジャン、ポイント3を更に地球寄りに移動するわ。ステルスを掛けて航行お願いね。」


 一方のミクラットのガルシア……。


 ガルシア「了解ポートル。ミクラットはあと30分ノアーナから離れたところで停泊する。ポートルは1時間移動して。……バンズ、地球に向けて連絡するには距離が遠そうだって。ドックからの定期信号をお願い。信号を頼りにギリギリまで移動するわ。」

バンズoff「ガルシアさん了解です。ドックからは定期的に信号を発信します。」


 画面はカーラントのラムルに戻る。


 ラムル「カウル、上陸データの位置にピンポイントでメッセージを送る。今から言うメッセージ内容を地球の言語に翻訳。定期的に送信続けてみて。」

カウル「了解、ラムル様。」

ラムルREC音声「こちらノアーナのラムル=カーレイ。地球からのメッセージ衛星は回収し解析を終えました。グランの緯度経度を知れればピンポイントでこちらから送信可能。太陽付近の物体は、私達がG15と呼んでいる自立移動惑星です。かつてノアーナの連星を壊滅させた物体でこのままでは危険です。ノアーナからシールドの供与も考えます……台数が知らされていません。現存のヒューマノイド=アーマーの総数分を至急知りたく思います。この通信を傍受したら、最大出力を持って報告を希望します。」


 地球時間で15分毎に、翻訳されたラムルのメッセージを定期発信し始めたカーラント。


 ラムル「こちらカーラント。母上、これから地球の上陸位置に向けて通信します。グランの言っていた周波数に定期的に送ってみます。ステルスを掛けるので、ハンジャもお願いします。」

ルイスoff「了解、ステルスを掛けて航行するわ。私達の船はポイント3を更に1時間30分先まで移動して停泊としましょうか。」

ラムル「了解、母上。もしも応答があったら連絡します。」


 カーラントとハンジャがステルスを纏う画。


 カメラ目線はそのまま遥か地球まで進む画に。


 ディゾルプ



ストーリー157:レンブラント通信ベース


登場人物

グラン、キース



 ラボラトリー・レンブラント地下3階。


 ラボフロアーのキースのデスクの横に立つグラン。


 グラン「宇宙研のパラボラをノアーナ方向に向けて受信体制を整えてくれ。受信内容はここへ直接入るよう設定。」

キース「宇宙研の方は手配済みです総督。……それからビンセントコートの情報は依然太陽黒点を監視していますが、また少し広がったように見えますね。ここのパラボラも大きく作ってくれれば、宇宙研の連中に頭を下げる事もなかったのにと、つくづく思いますよ。」

グラン「全くだね。ま、科学者達には1機のパラボラも惜しいのだから、仕方ないさ。……それで、太陽黒点はその通りのようだ。レンブラント近郊の外気の気温も低くなってきて、ここも冬の寒さになりつつある。……キースはパラボラの受信を感知したら直ぐ知らせてくれ。」


 ミーティングルームに入って来たグラン。


 シートに腰掛けた。


 グラン独り言off「軍の行動は大統領からも許可をもらった……。HMの通信周波数も変更した……。エネルギータンクモジュールの製造も進んでいる……。メッセージ衛星は、探査信号が地球に帰ってくるタイムラグが広がって情報が遅い。どこまで飛んでいったのかまだ掴めない……。」


 考えに耽るグランの横にタロンが座った。


 タロン「考えてても先へは進まないよグラン。……先のメッセージ衛星はまもなく太陽系外に出る。ノアーナ人からの応答は無し。……それから、HMのモジュールのシステムは出来上がったよグラン。」

グラン「そうか。それならモジュールを装備してアップロードしたら出撃出来るな。……俺もチームの先を飛ぶことになるが、留守中はレンブラントを頼む。メッセージ衛星で伝えている周波数は、HMでも通信手段に使う。これからはレンブラントが通信のベース基地になる。」

タロン「大丈夫、心配ない。グランも無茶はするなよ。軍人の命がかかってるんだからな。グラン達の作戦開始後はレンブラント、ビンセントコート、宇宙研究所が全て行動を見る事になる。通信のベース基地はここ。他の所の余計な戯言たわごとは一切HMにはいかない。存分に作戦を遂行していいよ。」

グラン「やけに自信満々なくだりだが?」

タロン「通信の最初に、コードを自動発信して通信するようシステムを改良したよ。いわばレンブラント通信ベースの暗号の様なものさ。」

グラン「ビンセントコートや宇宙研には、画像だけを入手させて、連邦軍がどれだけ連邦国に尽くしてるか。目に物言わせてやるか。HMの操縦士達は命を掛けて戦おうとしている。国民にはそこを知ってほしいよ。……HMの彼等の命は俺が預かっているんだ。絶対に無駄にはしないさ。」


 Fade-out。



ストーリー158:新しいポイントへ


登場人物

ルイス、ガット、ラムル、ポートル、ガルシア



 ハンジャはカーラントとステルスを掛けて、現状はオートで並行して航行している。


 ハンジャ内メインルーム。


 ルイス「ねぇガット?ハンジャのIDを主人に伝えていいかしら?RJ計画管理本部の通信システムならこことやり取り出来る筈なんだけど……。」

ガット「ご主人って、カ、カーレイ長官ですか?」

ルイス「もちろん。他にはいないわよ?」

ガット「そうなると、皆んなが地球に向かって飛んできた事を知らせるって事ですか?」

ルイス「そうね。手段が無くなったら頼るしかないわ。……ねぇガット、設計図を見たわよね?地球では何故シールドの提供を望んでいるかしら?」

ガット「それは攻撃から人型を守る為……でしょうか……。」

ルイス「じゃあ何故武器は望まないと思う?」

ガット「守る装備が優先して必要だから……。」

ルイス「彼等の人型のメカは、私達のAnnとは違う。人が操縦してるのよ。グラン=ジョリーという人は地球の人を守る為に戦ってきたようよ。……という事は、軍のトップとしては操縦者も守りたい。だからウロムナ金属のシールドで守りたいって考えたんだと思うわ。」

ガット「まずは守りを強化したいんですね、……でも、パルスレーザーならまだしも、ビーム砲の直撃ではウロムナ金属でも貫通する恐れも……。」

ルイス「それから……設計に詳しいガットだったら?バンズだったら?……マットだったら?どんなシールドを設計するかしら?……しかも短期間で。」

ガット「短期間……。人型の腕へのロック機構だけはしっかり……シールドそのものは送られてきた設計図をベースサイズで……。」

ルイス「そのシールドをノアーナの全てを注いで、地球の人型全ての分を製造したとしたら、期間はどの位かしら?」

ガット「簡単な形なら、設計は頭の中だけでもいい程度です。ビブレスやゴレイナ全土で製作すれば……。……でもそれには人型の数によりけりですね。」

ルイス「数が分かれば、ノアーナでも協力可能かも知れないわね。……管理本部はカーラントのIDはブロント経由で分かる。だからハンジャのIDも知らせておけば連絡取れると思ったのよ。」

ガット「それは構いませんよ。ルイスさん。」

ルイス「もうじれったいから100や200、作ってもらう様指示してもらおうかしらね。もー本当は短気なのよ私……。」

ガット「地球って星が一刻を争う事態なら、僕は協力したいです。ルイスさんの気持ちは分かります……。」

ルイス「その方向で考えててねガット。……よしっ。……こちらハンジャ。ラムル?その後地球からの応答は?」

ラムルoff「今のところ応答無し。向こうに届いてないんだと思うわ。あの周波数の電波じゃ全然無理みたい。」

ガット「僕らの様な量子プラズマ通信が出来ない以上、そのまま出力を上げなければなりませんね。もっと出力を上げられますか?」

ラムルoff「了解、分かったわ。このまま最大出力まで上げる。ありがとうガット。」

ルイス「ラムル。もう前の予定のポイント3を過ぎてるから、こっちで皆んなに通信確認するわね。」

ラムル「了解母上。お願いします。」


 マーデクトは新しいポイント2に到着した。


 マーデクト内メインルームのポートルの画。


 ルイスoff「こちらハンジャ。マーデクトは新しいポイントに着いたかしら?ハンジャとカーラントはステルスを掛けて航行中。」

ポートル「こちらマーデクト。たった今到着。感度良好、周囲異常無しです。」

ガルシアoff「こちらミクラット。聞いてたわ。私の方も感度良好よ。」


 一方ミクラットのガルシアの画。


 ガルシア「こちらミクラット。バンズのドック聞こえる?」

バンズoff「こちらバンズ。ポイントを移動した割に感度良好ですよガルシアさん。」

ガルシア「了解。ミクラットはここで停泊。ポートルの方も新しいポイントに着いたけど、あっちも感度良好だったわ。」

バンズoff「了解でーす。また連絡待ってます。」


 ディゾルプ。


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