ストーリー147~150

ストーリー147:影響が進行している


登場人物

ニュースキャスター、タロン、キース



 キャスター「……次のニュースです。最近では全国的に気温が下がり、北極、南極の極地では異常に海面が氷結している模様です。それでは現在の太陽の映像です。」


 まるで月が欠けて見える様な太陽の画像。黒点どころか暗い部分が広がって、月が欠けて見えるように太陽が欠けて見えている。


 キャスター「観測を行なっているビンセントコート外宇宙研究所によると、表面温度が低くなった範囲が広がり、地球に影響をもたらしているという事でした。……寒さに備えてお過ごし下さい。……以上FSLニュースでした。」


 ラボラトリー・レンブラント。地下3階ラボフロアー。


 ニュースを見ていたタロンとキース。


 タロン「最近の寒さは太陽のせいなのか……。」

キース「画像を見る限りでは、既に水星や金星には影響が出ている筈ですよ先輩。近いうちに地球の海は凍りつくんじゃないでしょうか。この先暖房どころじゃ過ごせませんよ。」

タロン「謎の物体の仕業はほぼ確定だな……。グランは何やってるんだ!」

キース「最悪はHMを総動員して謎の物体に近づくしか……。」

タロン「軍をあげて戦闘か……。HMしか無い連邦軍に成し得る事か⁉︎……この先地球の氷河期再来になっちまうのか?……。」

キース「まぁまぁ先輩、あまり消極的に考えない方が良いですよ。総督からまた連絡入りますって。」

タロン「仮に太陽の表面温度に影響が出る程の兵器の持ち主なら、HMなんかひとたまりもないだろうよ。」


 メッセージ衛星の画でディゾルプ。



ストーリー148:バンズの予感


登場人物

バンズ、ガルシア、ピコ、ピク(台詞無し)



 バンズのドック内。


 組み立て中の船の側でピク、ピコと一緒のバンズ。


 バンズ独り言off「ガットに来てもらったし、ルイスさんも要領掴んで動いてもらったし、かなり作業が進んだよ。明日は隙間無く接合を終わらせて、主要設備の設置。ケーブルの接続まで終わらせたいなぁ……。皆んな、何処まで飛んだかなぁ。……ねぇピコ。ガルシアさんに繋いでくれる?」

ピコ「了解、バン。……。繋がりました。どうぞ。」

バンズ「バンズです。ガルシアさんこんばんは。」

ガルシアoff「あらぁ、連絡は明日でいいのよバンズ。」

バンズ「いえ、皆んなどうしてるかなって……。」

ガルシアoff「心配ないわ。ポートルはポイント2で停泊中。ラムルはポイント3に向け航行中。皆んな異常無し。」

バンズ「……ならいいんです。ポートルやラムル、何かやらかしそうなので気になって……。」

ガルシアoff「明日の夕方にはラムルがポイント3に到着するでしょう。バンズ、明日の夕方からの作戦でも立てていて。」

バンズ「そうですね、寝るまでに考えます。ありがとうございます。」

 ……ガルシアとの通信を終えたバンズ。


 バンズ独り言off「絶対何かやらかすんだよ。……大丈夫かなぁ……。」


 組み立て中の船とメッセージ衛星のover-upでディゾルプ。



ストーリー149:発見!メッセージ衛星


登場人物

ラムル、ジャン、カウル、ポートル、フライ、ガルシア、バンズ、ピコ



 ポイント2を離れてしばらく経った。


 ノアーナ時刻で早朝の事。


 ラムルのカーラントも午後にはポイント3へ到着予定だった。


 カーラント、奥から手前に進んでくる画。


 変わってカーラント内メインルーム。


 ジャン「ラムル様、未確認電波受信。」

ラムル「お願い、解析して。……カウル、周囲確認を。」

カウル「……進行方向より小さな物体、1時間程ですれ違います。……ウロムナ金属の反応も有ります。」

ラムル「ウロムナ?まさか地球から⁉︎……ジャン、解析はまだ?……カウル、そのまま追跡監視して。……ポートルに連絡する。」


 モニターテーブルでポートルへ緊急連絡するラムル。


 連絡を受けたマーデクト。

ラムルoff「こちらカーラント。マーデクト聞こえる?ポートル?……緊急連絡。」


 カプセルから頭を掻きながら出て来るポートル。


 フライ「ポートル様。ラムル様より緊急連絡。来てください。」

ポートル「あー。こちらマーデクト。ポートルよ。ラムル?」

ラムルoff「あぁ、良かった。寝てるかと思った……。」

ポートル「寝てたけど起きた。どうしたの?何かあった?」

ラムルoff「未確認電波を受信したの。今ジャンが解析してる。こっちに向かって来てるらしいの。ウロムナ金属の反応もあるわ。」

ポートル「了解。ガルシアさんに転送するわね。ラムル、このまま通信継続。落ち着いて。周囲確認怠らないで。」

ラムルoff「了解、ポートル。」


 正面から向かって来るメッセージ衛星の画。


 再びカーラント内メインルームに画面が変わる。


 カウル「小さい箱の様な形の物です。電波発信機か何かかも知れません。ウロムナ金属は極微量の反応。」

ラムル「ジャン、その後どう?」

ジャン「内容は言語の様です。通信を繰り返しています。引き続き言語解析中。」

ラムル「ポートル?通信を繰り返す小さな箱の様な物みたい。多分地球からよ。ウロムナの欠片も入ってるんだと思う。」

ポートルoff「解析は?終わったら報告お願いね。……ガルシアさんにはそのまま転送してるから。」


 ミクラット内。


 ガルシア「ポートル?それでカーラントは無事?ラムルは?」

ポートルoff「大丈夫。今解析中みたい。ウロムナ金属の反応があって、地球からの物じゃないかって。じゃあまた連絡します。」


 ガルシア「こちらミクラット。バンズのドック応答せよ。バンズ、聞こえる?」

ピコoff「こちらバンズのドック。ピコです。転送データ受信。今バンズ様に変わります。」

バンズoff「ガルシアさん、何が有ったの?」

ガルシアoff「ラムルの進行方向に未確認電波だって。どうやら地球からの物みたい。データ転送は順次行うわ。待機でお願い。」

バンズoff「了解、ドックではこのまま待機。」


 一方カーラント内メインルーム。


 ポートルoff「ラムル?皆んな準備OKよ。データ転送は少しタイムラグがあるみたいだけど問題無いわ。連絡待ってる。」

ラムル「了解、ポートル。また連絡入れる。」


 会話の後、直ぐに、


 ジャン「解析終了。言語は地球の言葉です。」

カウル「大きさはさほどではなく、繰り返し通信するメッセージ衛星かと思われます。」

ラムル「地球の言語⁉︎……ジャン、カーラントを停止させて。それから内容を翻訳、データ保存お願い。……カウル、カーラント停止後すれ違うのは、後どのくらい?」

カウル「このままカーラントが停泊して待つとなると1時間。既にここは太陽系内に入っています。」


 ラムル独り言off「圧力調整ブースに収まるかしら……。」


 言うとラムルは、緊急脱出用の圧力調整ブースのサイズを確認しに行った。


 スーツの腕のモニターを使ってサイズを採寸中のラムルの画。


 モニターテーブルに戻ったラムル、


 ラムル「カウル、このサイズとメッセージ衛星のサイズの照合。可能なら圧力調整ブースに回収するわ。速度を調べて。」


 カウル、照合中の画。


 ジャン、ラムルの側に来る。


 カウル「照合完了。ブースに楽々収まります。速度はかなり早く進んで来ます。回収では、カーラントはこのまま速度を調整しながらポイント2方向に追跡する為、一旦戻る事になります。」

ラムル「いいわ、カウル。それはジャンに任せる。ジャン、お互いの解析データを同期。ジャンはカーラントをコントロール。カウルは衛星回収よ。」

ジャン「カーラント完全停止。」

カウル「データ同期します。」


 しばらくの間……。


 ジャン「ラムル様?……翻訳音声流しますか?」

ラムル「そうね。マーデクトに送信する前に確認するわ。」

ジャン「では流します。……『こちらは地球連邦軍総督グラン=ジョリー。惑星ノアーナへ向けメッセージ衛星を放出した。連絡及び内部データの確認を願っている。地球の存続に関わるかも知れない。一刻の猶予も無い。この周波数に連絡乞う。至急助けてくれ。』……以上です。この内容で繰り返し通信電波を発信していた様です。」


 ラムル「存続に関わるかも知れない……地球が何かの危機に晒されてるんだわ……。ジャンは操縦に専念して。カウル、音声データをポートルに転送お願い、緊急連絡よ。」


 マーデクトでも通信をリレーする。


 ポートルoff「……で、今カウルからデータが来たわ。ガルシアさんに転送したら内容確認する。」


 ミクラット内メインルーム。


 ガルシア「了解。データ転送するわ。……こちらミクラット、バンズ聞こえる?」

バンズoff「今データ受信中。これは何のデータですか?」

ガルシア「音声データの様よ。メッセージ衛星だって。地球からで間違いないみたい。」

バンズoff「……ルイスさーん、地球からのメッセージ衛星のデータ受信!来てください!」

ガルシア「皆んなで内容を確認しましょう。じゃ後程ね。」


 Fade-out。



ストーリー150:グランのメッセージ


登場人物

ラムル、ジャン、カウル、ポートル、フライ、ガルシア、バンズ、ピコ、ルイス、ガット



 中継ポイント作戦が思わぬ展開になってしまったラムル達。

引き続き連絡リレーが続いている。


 ラムル「ポートル?地球のメッセージ衛星は、カーラントの緊急脱出用のブースに回収するわ。」

ポートルoff「回収⁉︎……ラムル、宇宙空間に出るっての⁉︎」

ラムル「ブースは圧力調整が出来る。私じゃなくカウルに頼む事にする。衛星とすれ違うのが1時間後。追跡しながら速度を合わせたら回収出来るわ。」

ポートルoff「……了解。……それ、伝えるけど、ホントに大丈夫?無茶しないでよ?」

ラムル「大丈夫。その様に伝えて。」


 ミクラット内メインルーム。


 ガルシア「ポートル、こっちは今メッセージを確認。なんだか地球じゃ切羽詰まっている様子ね。バンズにも伝えるわ。」


 バンズのドック内メインルーム。


 ガルシアoff「……って言うわけで、ラムルが回収を試みるそうよ。そっちは音声聞いた?」

ルイス「ガルシア?地球の様子が掴めない。どんな状況なの?」

ガルシアoff「今は音声データだけ。かなりの危機なんじゃないかしら?……ラムルが無事回収して中身を解析するまで時間が掛かりそうよルイス。」


 頭を抱えるルイス。


 バンズ「了解です、ガルシアさん。また連絡待ってますから。」


 今日も船の組み立てに来ていたガットが心配そうに寄って来た。


 ガット「かなり緊迫した通信の様でしたが……。」

ルイス「話せば長くなるから簡単に説明するわ。今、皆んなは隣の恒星系に連絡をしようと船を出してるの。その恒星系には、ノアーナに似た惑星があって、前にそこの生命体と対面したのよ。ノアーナより技術力の劣る星、地球って言うらしいわ。それでRJ計画のつもりでウロムナ金属の欠片を残したそうなんだけど……。」

バンズ「アタイの勝手で向こうの様子が知りたいって提案したんだ。まず通信出来る様にしなきゃならない。それで皆んなが出てるんだ。ポイント3に向かっていたラムルからメッセージ衛星らしきを見つけたって。電波を発信してて、解析内容を送って来た訳。」


 バンズは計画の図を指差しながらガットに説明した。


 ルイス「ガット、聞いたからにはこの話、口外無用よ。いいわね。……じゃバンズ。送られて来た音声データを聞いてみましょう。」


『こちらは地球連邦軍総督グラン=ジョリー。惑星ノアーナへ向けメッセージ衛星を放出した。連絡及び内部データの確認を願っている。地球の存続に関わるかも知れない。一刻の猶予も無い。この周波数に連絡乞う。至急助けてくれ。』


 ガット「グラン=ジョリーという人は?」

バンズ「アタイ達が会った人。軍の総督さん。」

ガット「存続に関わるかも知れないって言ってますよ。どうするんですか⁉︎」

ルイス「ラムルがメッセージ衛星を回収してみるって。もし回収出来たらジャンとカウルで解析するわよ。そうしたら話は進展するわね。最悪はブロントに話さなきゃ。」

ガット「何をどう助けるんです?手立ては考えているんですか?」

バンズ「これは、まさかの展開で……。この先何も決まってない。」

ガット「それぞれのポイントまでどの位航行したんですか?」

バンズ「ポイント1まで1日と少し。更にポイント2へ1日。今ラムルが居るのは隣の恒星系に入った辺り。ポイント2から半日位だよ。」


 バンズは計画の図にペンで記入しながらガットに見せた。


 ガット「ラムルさんのサポートには、誰も向かえないんですか?」

ルイス「ポートルが近いけど、そうしたら向こうへ通信が出来なくなるわ。その為に船が中継する計画だったのよ。」

ガット「そんな……船が足らないのは目に見えて分かるのに……。皆さんの位置は把握出来ていますか?」

バンズ「それは抜かりないよ。迷子になったら終わりだからね。地球の方向には何も障害が無いのが幸いして、連絡はしっかり取れてる。ラムルの報告を待つしか無いよ。」


 ガット独り言off「3日掛けてたどり着くのか……。ならハンジャはその半分で飛ぶ……。その間にラムルさんが回収を終わってれば、ハンジャと合流も有り。」

バンズ「ガット?何ブツブツ言ってんの?」


 ガット「ハンジャで向かいましょう!僕とガルアムでラムルさんと合流します。その頃に回収が終わってれば、カーラントに移って解析だって早く済みますよ。」

ルイス「移るって……?」

ガット「ハンジャのハッチは隔壁になっていて圧力調査が出来ます。なのでカーラントに移れます。」

ルイス「そういうことなのね。……バンズ、ピコとデータの整理を続けてお願いね。私とジックはガットと行ってくる。」

ガット「大丈夫ですルイスさん、航行先が分かるので僕が行ってきます。」

ルイス「ハンジャでどの位時間が掛かる?」

ガット「皆んなの半分位です。」

ルイス「なら決まりね。私とジックも同乗するわ。」

バンズ「……あー。姫様が姫様なら、母上様も負けてない……ですね?ルイスさん?」

ルイス「そうね。バンズの知っての通りかしら?私とジックならハンジャを借りて直ぐだわ。バンズ、ハンジャのシステムに航行データの移行をお願い出来る?……ガット、あなたはガルアムとサポート頼むわ、操縦は任せて。さ、支度しましょう。」

バンズ「ジック。ドックのシステムデータから必要な物をそれぞれメモリーしたら屋上に上がるよ。急いで!」


 先に屋上へ上がったルイスとガット、ガルアムがハンジャのハッチで待っている。

ルイス「皆んなに何か有ったらと思うと気が重いけど、絶対そうはさせないから。……さ、ガット。両親にしばらく戻らないからって連絡しておきなさい。」

ガット「分かりました、ルイスさん。」


 バンズがジックを連れて屋上へ上がってきた。


 バンズ「ルイスさん、航行データはジックからデータ転送してください。ジックとガルアムはちゃんと同期しておくのよ。……じゃ、ルイスさん、ガット。途中にはミクラットとマーデクトが停泊してるから、連絡を取り合ってください。気を付けて。」


 ガットとガルアムが中へ入る画を奥に、手前のルイスとバンズの2ショット。


 ルイス「バンズやポートルは、私の娘みたいなものよ。あなた達は大丈夫。心配ない。」


 ハンジャに入っていくルイス。


 バンズ小声「ルイスさん……。」


 ディゾルプ。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る