ストーリー104~107

ストーリー104:バンズ過密スケジュール


登場人物

バンズ、ピコ、ピク、回想のグラン、ポートル、フライ(台詞無し)



 今日はバンズがクラフトルームにこもって、地球で採取した資料を解析機にかけていた。


 ピクテーブルの傍らではピコが結果を待っている。


 シートに座って待ちながら、


 バンズ独り言off「土壌の組成は多分ノアーナと違いは無いと思うんだけど、何か見つかるかなぁ……。」


 解析機の横のモニターを見ているバンズ。


 バンズoff「林の中の土壌だから炭素が多いな。……他に目に付く成分は……。」

ピコ「バン、ガルシア様からメインルームに着信。」

バンズ「あら、ガルシアさんから?ちょうど良かった。繋いでピコ。」

ガルシアoff「こんにちは、バンズ。その後地球からは何か持ち帰って来たの?」

バンズ「はい、それを今日は解析中です。……あと、近々ラムルがまたそちらに伺う予定の様なので、ラムル達の帰りに同乗してはどうでしょ?是非ここにもいらして欲しいし。」

ガルシアoff「ラムル達が?そうね。その時は同乗させてもらおうかしらね。カーラントは初めてになるし、シューロンは久しぶりだからそのつもりでいるわね。……今の解析のデータを見せてもらうから楽しみにしているわ。じゃあまたその時に。」

バンズ「はい、待ってます。」


 通信を終えて、モニターに目を移したバンズ。


 バンズoff「今のノアーナより色んな成分で一杯。地球の土壌は豊かなんだな……。大昔のノアーナみたいなもんか。……そんな昔の資料はノアーナには図書館に有るか無いかで比べようが無い……。これと言って特別何も無かったのは残念だけど……。さて、解析終了。終わりにしよ。」

バンズ「ピコ、解析データをメモリー、採取場所は、地球の着陸位置データと同じ場所の資料だからね、よろしく。」


 クラフトルームから出て来るバンズとピコ、ピクの画。


 メインルームのシートのバンズ。


 バンズ独り言off「あ、ガルシアさんのミクラットのカスタマイズの話もあったんだ。ガルシアさんはどう変えたいのか聞いておかなきゃなぁ。アタイ的にはソディナとジックは自由にさせてあげたいけど……ガルシアさんどう思うだろ……。ミクラットは見たところではラムルのカーラントと引けを取らない船。メカニックの血が騒ぐぅ〜〜〜。」


 ピクがバンズの側に来て、

ピク「バン?お飲み物、作りますか?」

バンズ「うん、そだね。お願い。」


 言ってまた考え事。


 バンズoff「ミクラット、ダイム、カウル……そしてじいちゃんの事。……色々知りたい事が増えちゃったなー。……ミクラットの事はガルシアさんと話してから……ダイム金属の精製はしばらく時間が掛かりそう……カウルの刻印を見せてもらって、更にじいちゃんの事が知りたくなった……。じいちゃんの事は長官が何か知ってるかなぁ、これはラムルに聞き出してもらおう。」


 普段、バンズはここまで思案する事は無いのだが、このところ立て続けに色々な事態にあい試行錯誤、スケジュール調整で頭がパンク状態だった。


 ふと、バンズの脳裏に……。


 ストーリー80の回想画。


 バンズ「はいこれ、金属クズ。これを解析してみたらどう?地球には無い物質も含まれるだろうから材料集めは困難だと思うけどね。」


 数センチの細かい板状の破片が数個、グランに手渡すバンズ。


 バンズ「多分、アンタの持ってるレーザー銃を当てても傷も付かない金属だよ。試せば分かる。」


 ……マーデクトの画。ゆっくり開き始めるハッチ。


 グラン「あぁ、バンズ。こいつは解析して必ず同じ物を作り上げるさ。いい土産物、ありがとう。」


 開き切ったハッチを走って出るグラン、再びハッチが閉じていく。


 回想終わり。


 バンズoff「アイツ、同じ物作れたかな……。こんな事考えるなら地球の鉱物も持って帰ればよかった……。地球と通信かぁ……どれだけ中継ポイント作るんだよ……。アイツ、イカつい人型に利用してノアーナに攻めて来たらどーすんの⁉︎……だからあの位のクズを渡しておいて十分だよね。……ぶつぶつ……ぶつぶつ……。」


 フライと出掛けていたポートルがいつの間にか側で座っている。


 バンズの独り言を聞いていたようだ。


 ポートル「何をいつまでもぶつぶつ言ってんのよバンズ!……ただいま!今戻ったわよ。」

バンズ「あっ、ポートルおかえり。……いや、なに、色々と考え事してた。……で、フライをあちこち連れて行けた?」

ポートル「うん。色々話したし色々メモリーしてもらったよ。」

バンズ「そりゃ良かった。じゃフライ、もう休んでていいよー。」

ポートル「で、ぶつぶつぶつぶつと何考えてたの?」

バンズ「色々有ったから、まず何しようかなってね。」

ポートル「まず何しようってそんなにやる事あるの?」

バンズ「そう。色々とね。……ポートルがフライとお出掛けしたのはアタイは嬉しいよ、それもポートルに勧めなきゃいけないなって思ってたからさ。」

ポートル「何言ってるか分かんない。」


 Fade-out。



ストーリー105:親が親なら子も…


登場人物

バンズ、ラムル、ジャン(台詞無し)、ルイス、ガルシア



 カーレイ邸。リビングのソファーのラムル、ジャンを介してバンズと通信中。


 ラムル「……母と話して、明日行く事になったわ。」

バンズoff「帰りはガルシアさんも同乗で帰って来るように!」

ラムル「え⁉︎何それ。話ついてるの?」

バンズoff「あぁ。ガルシアさんから連絡来て、地球のお土産の解析結果が知りたいってー。」

ラムル「そなの。分かったわ。じゃあ長居しないで戻るから。」

バンズoff「うん、よろしくねー。」 


 通信終わり。


 ラムル独り言off「ガルシアさん、地球の話に興味津々のようね。母上だけ置いて戻ってくる訳にはいかなくなっちゃったじゃない!……にしてもガルシアさんはどこに泊まってもらおう……。よしっ」


 ラムルは部屋に居るルイスに声を掛けた。


 ラムル「母上―。」


 スライドドアが開くと同時に(その画)


 ラムル「母上、入ります。」

ルイス「どうしたの?何かあったの?ラムル。」

ラムル「明日の話なんだけど……。エンジャーでガルシアさんを乗せて直ぐ戻るってのはどう?」

ルイス「どうしたの急に。ガルシアのところで少し滞在予定だったのよ。」

ラムル「母上、ゆっくりするのは別の機会にして、ガルシアさんをシューロンにご招待ってのに予定変更しましょうよ。」

ルイス「私はラムルが連れてってくれるなら改めてガルシアのところでゆっくりするわ。でも何故急に?」

ラムル「バンズがガルシアさんに来てもらいたいそうだから。それに、ガルシアさんも地球のお土産の解析結果が楽しみらしいの。ガルシアさん、ダイムのこと調べてくれてるかも知れないし。」

ルイス「分かったわ、ちょっと待ってね。」


 ルイスがモニターテーブルでガルシアに連絡する画。


 画面モニターのままで

ルイスoff「ガルシア?ルイスよ。近くにいたら繋いでくれる?」


 少し間があったが、


 ガルシアoff「ルイス?ガルシアよ。お待たせ。……今日はどうしたの?」

ルイスoff「明日、そっちに行く件だけど……。」

ガルシアoff「大丈夫よ。既に豪華パーティの準備は着々と……。」

ルイスoff「あ……ゆっくりするのはまたの機会と言う事にして、明日は、着いたらあなたを乗せて直ぐシューロンに来るってのはどうかしら?」


 ルイスとラムルは見合わせて合図(ウインク⁉︎)


 画面モニターに戻り、

ガルシアoff「ラムルの友達のバンズと話したの。帰りは同乗してシューロンにって。それからバンズのドックに招待よ。……⁉︎」


 しばらくの間……


 ガルシアoff「ラムル!そこに居るでしょ!……あなたの企画ね?」

ラムルoff「ガ、ガルシアさん、こんにちは。豪華パーティはこちらでゆっくりいかがでしょうかー……。」

ガルシアoff「ラムル?ルイスとあなたでカーラントに乗ってエンジャーに行ってゆっくりしたらって、せっかくのブロントの計らいよ!。」

ルイスoff「そう言わないでガルシア。今度ゆっくり行くわよ。だから今回は彼女達に会いに来て。」

ガルシアoff「ラムルに会う度にルイスが被って見えてくるわ〜どうしましょ〜ラムルにはおてんば娘になって欲しくないわ〜。」

ルイスoff「ラムルは私の娘。似ていて当然!だからシューロンでゆっくりしてってガルシア。」

ガルシアoff「豪華パーティそのままシューロンに持って行こうかしら。」


 Fade-out。



ストーリー106:ブロントとロワート博士の記憶


登場人物

ブロント、ラムル、回想のピクとピコ



 カーレイ邸。ラムルの部屋。


 ブロントoff「ラムル、いるのか?」


 ラムルはスライドドアを開けた。


 ラムル「おかえりなさい父上。どうぞ。」


 ラムルはブロントにシートを勧める。


 ラムル「父上、今日は何か?。」


 分厚い本をモニターテーブルに置くブロント。


 ブロント「リターナの古い歴史を調べていただろう。管理部の書庫から探してきた。分厚いから読み甲斐がありそうだぞ。」

ラムル「ありがとう父上。この間、シューロン図書館に行ったけど、どの本がどれやらさっぱりだったの。そのまま引き上げて来ちゃったから助かるー。」

ブロント「そうか、役立つといいな。」

ラムル「うん。……あ……父上……あの……。」

ブロント「何だ、リターナ以外の文献も必要だったか?」

ラムル「違うの。……カウルの事。……父上のデータを色々聞いたわ。カウルって、船の操縦、管制、分析、データメモリー、データ解析、メカニック。……凄いAnnだったのね。」

ブロント「当時最高スペックだったさ。仲良くしていた。」

ラムル「でも良かった、父上がカウルのデータを消去しないで。」

ブロント「日常、必要以外のデータは残さないようにと指示はしていたが、色々とカウルの判断で残っていたんだろう。……で?カウルに何か異常でも有ったか?」

ラムル「いいえ何も。……カウルは素敵なAnnよね。自分で何でも出来るんだもの。自分のメンテをするAnnなんて、見た事も聞いた事も無かったからビックリよ。」

ブロント「……他所の星へ出掛けて何か有ったら身を守れる様に、悪い連中に捕まっても手を加えられないように……カウルが可哀想だからな。」

ラムル「分かってる。カウルから聞いたわ。……それに……。」

ブロント「それに?何だ。」

ラムル「カウルの……人型に変形するのを見たの……。」

ブロント「……そうか……。すっかり忘れていた。」

ラムル「何故?父上は何故カウルに人型のカスタマイズを?」

ブロント「カウルは見ての通り、精密無限軌道で移動する。だがそれでは速度が遅い。変形して移動すると倍速になる……これも身を守れる様にと思ってな。」

ラムル「その人型改良を施したのは、私の友人バンズの祖父なんです。友人の名前はバンズ=グロビア。」

ブロント「グロビア⁉︎そ、そうなのか。バンズという子は博士のお孫さんか……。ロワートは、私の船やフローター、そしてカウル。皆カスタマイズを依頼していた。……彼は年配だが、グロビアとは呼ばずロワートと呼んでくれと。それでカウルにもロワートと呼ばせていた。のちに博士号を取ってからは、ロワート博士と呼ばせていたんだ。」


 ストーリー5の回想…。


 ピク「かしこまりましたバン。バンは濃いめ熱め。ラムル様のお好みは?」

ラムル「私は……。普通でいいわ。甘めで。」


 ディゾルプ。


 同ストーリー別回想…


 座っているシートからピクまでをキョトンと見守るラムル。


 ラムル「バン……。(小声で)」

バンズ「そ、アタイのAnnには皆、バンって呼ばせてる。」

ピク「お待たせしました。バン。」


 更に同ストーリー別回想。


 ピコ「ラムル様。今後ともよろしくお願いします。」

と、挨拶。手を差し伸べるピコ。


 仰天のラムル、唖然。

ラムルあっけに取られながら握手。


 バンズ「ピコ、ラムルの前では変形を許可するわ。それもちゃんとメモリーしておいて。」

ピコ「了解バン。メモリーします。」

 ディゾルプ。

 回想終わり。


 ラムル「バンズに似てる。バンズもAnnにはバンって呼ばせてるわ。本人も影響受けてるって言ってた。……父上は……ご存知でしたか?ロワート博士の刻印の事。」

ブロント「それか。……ビブレスでは語られていた様だが、私は見た事は無かった。多分、依頼した全ての仕事の見えない所に刻まれていたのだろう。彼からは何も聞かされないままに船もフローターも解体してしまったから、当時は確認出来なかったが。」

ラムル「それがカウルにはちゃんと残ってるわ。しかもカウル自身がお気に入りのところに、しっかり刻印されてた。」

ブロント「カウルのお気に入りの所?それは知らなかった。ラムルは見たのか?」

ラムル「ええ、見せてくれたわ。……なんだか……その時のカウル、思い出を振り返っている様だった。」


 回想画で、off台詞にしても可。


 ブロント「カウルが記憶していたと?」

ラムル「その事は話さなかった……。もしかしたらカウル自身だけが持っていたい記憶なのかも知れない。そう感じたわ。その部分はカウルのフィルターだから深く聞こうとはしなかったわ。」

ブロント「そうか……。」

ラムル「カウルはね。腕のプレートがお気に入りなんだって。……そのプレートの裏にしっかり刻印が有ったわ。バンズも触らせてって喜んでた。そのあと泣いちゃってたけど、祖父の刻印に触れる事が出来て嬉しかったんだと思うの。」


 この台詞辺りまで回想画で、off台詞にしても可。


 ブロント「ロワートはノアーナ最高の技術者さ。私は博士号を推薦もしたんだ。博士としてのその後は、自分の研究の傍ら、艦隊の設計を手掛けてくれた。ほぼ毎日のように自分のドックと軍のドックを行き来して過ごしていたよ。……友達のバンズは知っているかどうか知らんが、あのドックは2階層になっていてな。でも、とうとうロワートが亡くなるまで下の方には入らせてもらえなかった。……あそこはまだ残っているのだろうか……。彼の全てがそのままになっているかも知れん。博士はそれを伝えられたのだろうか……。今はもう私には分からん。……だが、あの多忙の中でも孫を、バンズを育てたのだから偉いと思う。」

ラムル「バンズに話してあげたいわ。」

ブロント「いやドックの話は、それとなく彼女から話してもらうのがいいんじゃないか?知っていたらだがね。……バンズは、彼女は両親を早くに失ってね。ロワートと2人で過ごしてきた。あまりロワートの事を軽々しく聞くもんじゃない。」

ラムル「分かったわ。バンズが話してくれる時まで私の胸にしまっておきます父上。」

ブロント「さぁ、私は少し書き物がある。また話をしよう。」

ラムル「父上、この本と博士の話、ありがとう。」


 ブロントは部屋を出る時、後ろ手に手を振った。


 Fade-out。



ストーリー107:レンブラント、動き出す


登場人物

グラン、タロン=ダグラス所長、キース、他レンブラントメンバー8名



 ようやく活動開始となったラボラトリー・レンブラント。


 週の初めにスタートを切った。


 地下3階ラボフロアーにあるミーティングルームの円卓には、グラン=ジョリー総督、タロン=ダグラス、キース=シュテインバーグ、他タロンが選抜した精鋭技術者達が初会議を行なっていた。


 各自の前にはモニターが有り、それを使ってグランが説明しているところである。


 グラン「まずは組成分析から取り掛かってもらう。この金属の1つで強度実験も行って欲しい。」

タロン(ダグラス所長)「分析結果から精製可能かどうかを皆で検討する事になる。最終的には同じ物を作り上げる事。」

グラン「所長を通して連絡は密にする。結果報告を待っている。」


 席を立つとグランはタロンの肩を軽く叩き部屋を後にした。


 ダグラス所長「早速取り掛かろう。週末には良い結果を報告出来るよう頑張ろう!」

全員「はいっ!」

 モニターに映る金属片の画像。

 ディゾルプ。

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