第338話 ジゼリィ=アゼリィ本店増築 10 夏の夜の水着砂浜宴会様
時刻は十八時過ぎ。
ソルートンの砂浜が夕焼けでオレンジ色に染まりだす。
「はい、終わりです! これにてジゼリィ=アゼリィ臨時海の家は終了となります! あとは明日から店舗でお楽しみ下さい!」
炎天下一心不乱に焼きそば作り続けて八時間、俺の右腕が限界を迎えた。
俺が震える声で叫ぶと、男達の群れが残念そうに家路についていく。
「お疲れ~社長~。まさか本当に焼きそばを販売し続けるとはね~。社長の根が真面目な性格が出ていたな~あっはは~」
俺の後ろで優雅にレンタルで借りてきたビーチチェアーに横たわり、飲み終わったお酒の瓶を抱えていた水着魔女ラビコがのっそり起き上がる。
水着にちょっと酔って紅潮した頬、大きな花の飾りがついた麦わら帽子。
たまに組んだ足をエロく組み替えていたので、俺は焼きそばの材料を取るフリをしては気付かれないようにチラチラと後ろを見ていた。
ああ、当然低い姿勢からの凝視だ。
ラビコは足が綺麗なんだよな。
そういや以前、王都に行きたくてお金借りるのにその綺麗な足を舐めまくったな。
俺も若かったってことか。
あ、違うぞ。俺が進んでやったわけじゃなく、ラビコが俺の大金を借りる覚悟はどれほどか図ろうとしてきたので、喜んで舐めたんだ。
「ふふ、お疲れ様です。はい、冷たいオレンジジュースですよ」
俺が極度の疲労でその封印されし右腕の震えを抑えていたら、ずっと飲み物販売を担当してくれていた宿の一人娘ロゼリィが優しい笑顔で飲み物を手渡してくれた。
うーん、水着のロゼリィは最高ですな。
今すぐにでも飛び込みたいレベルの大きなお胸様。
ロゼリィは座って販売していたので、立って作業をしていた俺は、斜め上からその素晴らしいお胸様の形を研究対象としてじっくり観察していた。
「隊長、お疲れ様です! マッサージしてあげますか?」
「なのです! 日頃の感謝を込めて、隊長を癒やしてあげたいのです!」
俺を左右から挟んで立っていたセレサとオリーブが、俺の腕を軽く揉んでくれた。
もちろん二人共水着着用だ。至近距離で見ていたぞ。たまに腕に柔らかいものが当たったりしてな。
いい夢見させてもらった。
バニー娘アプティには魚介類の炭火焼きを担当してもらったのだが、あっという間に食材の在庫がなくなり販売終了。その後は俺の足元にしゃがんで、愛犬ベスとなにやらモゴモゴ話していた。
アンリーナのほうは日焼け止めなどの化粧品販売をやっていた。こちらも早々に商品が売り切れ、その後はロゼリィの飲み物販売を進んで手伝ってくれた。
まぁ周りの魅力的な女性たちのお胸様やらお尻様やらを観察していたら、気付いたら八時間経っていた感じだな。多少物足りない。
だって俺の焼きそばの列には筋肉男の列が出来て、砂浜を踊る水着美女達の軽やかステップが全く視界に入らなかったんだ。
入らなかったんだから、たまには目の保養目的で身内の水着様を凝視したっていいだろう。
つか、みんなずっと手伝ってくれていたな。
遊びに来ていたはずの宿のスタッフ達も臨時販売所の混雑ぶりを見て、遊びを切り上げて手伝いにきてくれたからなぁ。申し訳なかったな。
「みんな悪かったな……せっかく海に来たのに忙しい思いさせてしまって」
俺が気まずそうに謝ると、周りのみんなが不思議そうな顔をする。
「あっはは~社長さ~嫌だったら仕事外の無報酬で手伝わないって~。社長だからみんな手伝ったんだって~。もう少し自分に信頼があるってことを自覚したほうがいいよ~?」
ラビコがニヤニヤしながら言うと、周りのスタッフ達も疲れてはいるものの、笑顔で頷いてくれる。
「そういうことさ。いいかい、あんたはこの宿の若旦那なんだ。もっとドーンと構えてグイグイと周りを引っ張っていってもらわないと困るのさ」
背後から突然声が聞こえ驚き振り返ると、そこには宿のオーナーであるローエンさんにジゼリィさんが日中は私用で来れなかったスタッフ達を引き連れ歩いてきた。
「やぁ、お疲れ様。宿からいっぱい宴会用の食材持ってきたよ。ここからは僕が作るから、若旦那には休んでもらおうかな」
おっと、宿の神の料理人イケメンボイス兄さんも来てくれているぞ。しかも台車に食材満載じゃないか。
「お疲れ、兄貴! さぁ、ここからが本番だ!」
「掃除、洗濯、部屋の模様替え終わった……お腹すいた」
「日中たっぷり寝てお腹をすかし、さっそうと夜の食べ放題イベントに参加。持ち帰り容器も持参でエントリー」
正社員五人娘の残り三人、ヘルブラ、アランス、フランカルも水着で来てくれたのか。
つか全スタッフ集合かよ。
「さぁみんな! これからジゼリィ=アゼリィ夏の夜の大宴会を始めるよ! 持って来た物は全部飲んで食うこと! 残したら持って帰る荷物が増えるんだから綺麗に平らげな! さぁ火を起こせ! 簡易調理台にテーブルを組め! 各自行動開始!」
ジゼリィさんが声を上げるとスタッフ達が吼え、一斉に夜の宴会の準備が始まった。
相変わらずの統率力だな……ジゼリィさん。
スタッフが動き始め、次々と調理台やテーブルが組み上げられていく。
貝や魚の焼けるいい香りが辺りに漂う。
日も落ち、辺りは暗くなったが、俺の周りは豪快な調理の火と明かり用に焚かれた火でいい感じの雰囲気に。
月明かりも素晴らしいライティング。
夜の砂浜で宴会か、なんかいいなぁ。
そうだ、水着だけじゃないよな、夏って。
さっきまでの、健康的な夏の日差しを浴びた水着様のお胸様ばかり目で追っていた自分が恥ずかしい。
夜の月明かりや、焚き火とかのゆらめきのある明かりを浴びた幻想的なお胸様も最高だと今、気付いた。
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