【工事中】風琴ねずみと夜の電車 補遺

倉沢トモエ

「あ」青い鳥(あおいとり)

メーテルリンク作の『青い鳥』(1908)。


日本での初演は大正9年(1920)2月11日、東京有楽座にて新劇協会によるもの。以来人気のお芝居です。

クリスマスの夜、貧しい兄と妹、チルチルとミチルが仙女の求めにより、青い鳥を探す旅に出かけます。筆者も小学校の芸術鑑賞みたいな時に舞台を見た記憶があります。


『風琴ねずみと夜の電車』では、淡雪天堂一座が奇術と歌の子供向けの舞台として演じました。

これは当時、少女歌劇、お伽歌劇、奇術の人気があったので、誰かそんな舞台を作ったかもしれない、というところからの創作です。なんかありそうなやつ。


登場人物の菅原秀真くんが関わっていた〈子供会〉との絡みでのエピソードを。

大正時代から、童謡研究会、おてんとさん社、仙台児童倶楽部などなど、当地で多くの児童文化活動に関わっていた天江富弥あまえ とみや氏(1899~1984)には『青い鳥』についての逸話があります。

彼にとって『青い鳥』は、大正9年の有楽座初演を観て以来、憧れのお芝居だったそうです。


青い鳥がやりたいと長年にわたりいい続け、念願叶って自ら〈思い出の国のおじいさん〉役で舞台を踏んだのは1979年、仙台市民会館にてでした。


『青い鳥』に50年以上も憧れていたわけで、初演がどれほど印象深いものだったのか、しのばれます。


参考:『明治・大正家庭史年表 1868→1925』河出書房新社 2000年

『炉ばたのおんちゃん 天江富彌回想』富田博著 おてんとさんの会 1996年

『おてんとさんの会 100周年記念誌 おてんとさん合併号(30~31号)』おてんとさんの会 2021年

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