目玉

ウナーゴン

20060802

 目玉が取れた。


 机の上に転がった球体を、残った方の目で眺める。

 舐めかけの飴玉のような光沢だ。


 しかし、目玉とはこんな模様だったろうか。白と黒とが半分ずつ、緩やかに波打つ境界線によって、分けられている。

 指でそっと球体をつまみ、鏡を見ながら、顔の本来あるべき位置に戻す。


 と、その瞬間、眼窩の中で、二つの目玉がぐるりと回転した。


 そして両の眼に現れたのは、白と黒とが互いに咬み合う、陰陽のシンボルだ。





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