第六話 ショッピング
俺は待ち合わせの駅に到着した。
時刻は十二時五十五分。待ち合わせの時間は一時なのでギリギリセーフと言ったところだろうか。
辺りを軽く見渡すとそこには田舎の寂れた駅に、まったくと言って良いほど似合わない、可愛くオシャレをした女子高生二人が仲良く談笑していた。
俺は恐る恐る近づいていき、声をかける。
茶髪ロングを後ろでポニーテールにし、薄手のパーカーにロングスカートを履いているいかにもモテる女子といった見た目の姫野由愛。
そして隣で少し恥ずかしそうにしているのは日本じゃ流石に目立つだろと言った銀髪に、今はカラコンをしているのかオッドアイでは無い普通の黒目に太もも位までのワンピース、中にショートパンツを履いているのか、ほんの少しだけズボンの裾が見えてそれはそれで色気を感じさせている。
女子高生二人のレベルが高過ぎて帰りたくなってきた。
「遅い。待ちくたびれたわよ」
由愛はふくれっ面で文句を言う。
「急に呼び出されたのに時間通りに着いただけ褒めて欲しいんだが」
「はいはいご苦労様でした」
由愛はやっつけ仕事感満載に俺へのねぎらいの言葉をかける。
「えっと、行きたい所は決まってるんだっけ?」
「まぁ決まってるけど、最終手段って感じで。もし行きたい所あったらそっち優先でいいわよ」
「って言われてもさっきも言ったが特に行きたい所は無いんだよな。七色は何処か行きたい所あるか?」
七色に話題を振ると少し考えるような動作を見せた後
「んー、特にないかな。行きたい所はもう全部行っちゃったし」
と困り顔で答えた。
行きたい所全部行ったってどんだけ出かけてるんだよ。まぁ由愛に振り回されてそれについて行ってるだけだろうけど。
「じゃあショッピングモールってのはどう? 一応三人で出かけて楽しめるのってウィンドウショッピングくらいかなって思って考えてきたんだけど」
「俺は良いけど、二人はさんざんウィンドウショッピングとかしてるんじゃないか?」
「してるっちゃしてるけど、ショッピングモールはまだ行った事無いから問題ないわよ」
「そうか。それなら俺は別に良いけど。てか道とか調べて来てるんだろうな?」
「そりゃ調べて来てるわよ。あたりまえじゃない」
少し不安になって聞いてみると、由愛はさぞ偉い事をしたかのように鼻を高くして笑って見せた。
「それじゃあ道案内任せた」
「はい、任されました」
早速由愛はカバンの中からスマホを取り出し、ナビを開始するのだった。
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