彼女がロードに乗る理由
久遠文嶺
プロローグ「新田香織の場合」
『新田香織』はロードバイク乗りだ。アマチュアでは無敗を誇っていて、この会見の数か月前にはプロレーサーへ転身すると最年少記録を次々とレースで塗り替える偉業を成し遂げた。突如として現れた彼女の存在は、世間一般に【ロードバイク】をマイナーなスポーツ競技からメジャー競技に昇華させるのに充分過ぎる起爆剤だった。
そんな彼女は会見後に予定されていたレースや競技に全く出場しなくなった。そして、『新田香織』の名は一瞬で風化し世間から忘れられた存在になった。
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