四季奏爛 ~四季の移ろいの中、二人は恋をする~

ケイくんとナナさん或いは義鷹=gsgs

四季奏爛 花が咲き誇り、蜜を求めて蝶が舞う春

 日曜日の日も傾き始め、もうすぐ空が茜色に染まる時間にデート帰りの一組の男女が寄り添い合って歩いていた。二人は楽しそうに学校で起きた出来事や次のデートの約束を交わしていると「ねぇ」と女の子が通り過ぎた公園に咲く紫色の花を見つけて呼び掛けた。

「君はこの花の蜜を吸ったことある?私はね小学校の下校途中に咲いていたからよく吸っていたんだ。甘いから舐めてごらんよ」

 やり方がわからないという男の子に、簡単よと一つ摘み、そのまま口元へ運んで蜜を吸う。

「久しぶりにこの花の蜜を吸ってみたけどけどやっぱり甘いね、ほら簡単だったでしょ、君もやってごらんよ」

 そう言って女の子はもう一つ花を摘み、男の子に差し出した。少しすぼめた口元に運び蜜を吸う。

「本当だ、甘い……何か癖になっちゃいそうだよ」

「でしょ?」

そう言って二人はもう一度紫の花へと手を伸ばした。

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