水のアレ

 中世ヨーロッパ的な世界の食事情などを考察してきましたが。食事以上に欠かせないのが、水についてです。なにしろ人間の60%は体液という水分を含む液体で構成されていますので、水がどれだけ重要かという事になってきます。


 さて、現代日本で暮らしている我々は、水道から安全で格安な水を供給されているので、レストランなどでサービスとして水が出てくるのは当たり前と感じております。ですので、異世界の冒険者ギルド併設酒場などで普通に水が提供されているシーンが描かれています。しかし、外国旅行に行ったことのある方はわかると思いますが、水道水をそのまま飲むとかけっこう怖くてできないので、レストランなどでは飲料水もメニューに有料で載っています。


 ちなみに私もアメリカに住んでいたころは、水道水はそのまま飲まないので、紅茶やコーヒーで水分補給、あとは、もっぱら無糖のペプシ(昔はダイエットペプシと言ってましたが、ダイエットになるわけではないので最近は言わない)をガブガブ飲んでました。コストコで何箱も買ってきて冷蔵庫のどこかの段はペプシでした。レストランでは、基本アイスティーでお代わりは無料でした。


 閑話休題、水の扱いについては作品によってかなりの幅があります。生活魔法で飲料水や生活用水ぐらいは出せる(でも魔力は有限)とか、魔法使いが希少で水魔法の使い手は何処でも引く手数多というのもあります。前者の場合は、水なんぞ誰でも出せるから、逆に、態々と水を提供しないような気がします。後者だと水を確保するのは大変な重労働で、江戸の町のように上水道が発達しているならともかく、井戸に汲みに行くような環境ではタダでは提供されないと思われます。たとえ上水道があったとしても、汚物をそこら中にまき散らす中世ヨーロッパ準拠の都市環境では、怖くてそのまま飲めないと思いますが。現代日本からの転生者や転移者の方々は、水魔法か生活魔法(水)は必須で、魔力も無尽蔵必須でないと転移先で気が狂うと思います。


 ましてや、お風呂大好き日本人にとっては火魔法などでお湯も簡単に沸かせないとだし、土魔法で湯船も簡単に作れないと、などなどです。異世界で「チートな戦闘力」で「俺TUEEEEE」などどうでもいいです。あ、生活魔法の「クリーン」とかでとりあえず清潔が保てるのなら生きていけるかな、ギリギリ。


 本当に水という、塩に並んで最重要な戦略物資をどのように確保されているのか、いろいろと考えて物語を創ると奥行きが出たり出なかったりするかもしれません。まあ、川や池、湖のほとりに住んでれば水は大丈夫ではという意見があると思います。ついでに、転移後に、人里から離れた場所で、川を発見して何のためらいもなくその水を飲んでいる場面をよく見かけます。まさに勇者です。頑張ってください。やっぱり転移者特典でポンポンイタイにならないのかと脳内補完する次第です。


蛇足ですが、現代でも水を汲むのが子供の仕事で命がけで水くみしているというような話をして、子供たちを救いましょうな活動については、本稿とは全く関係ないのでそういった方面からの賛同とか嫌がらせはご容赦ください。

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