改訂版・少女ヒーロー読本
早見慎司
はじめに(ネタバレ、タイトルなど)
●〇の一/ネタバレについてご注意(最初にお読み下さい)
本校は、少女が戦闘する、実写映像を論考しています。具体的に言うと、一九七五年の『本陣殺人事件』(ATG版)から、『不良少女とよばれて』『スケバン刑事』『エコエコアザラク』、最新は二〇二〇年の『女子高生の無駄づかい』などの作品です(詳しくは、それぞれの節の見出しをご覧下さい)。
こういう本の場合、問題になるのはネタバレがあるかどうかだと思うのですが、本校では、必要な際は、結末や重要なストーリーの一部を、紹介しました。
理由は三つ、あります。
その最大の理由は、紹介する元になっている映像作品の多くが、すでに見られないことにあります。原田知世の『時をかける少女』は、さすがに見られない日は簡単には来ない、と思いますが、すでにブルーレイ版が出てしまっているので、新しく見られるか、保証はできません。石橋けいの『アテナ』(第三章を参照)などは、VHSの中古ソフトが法外な価格になっています。『この続きはソフトでお楽しみ下さい』と言っても、見られない作品も数多くあります。
ふたつ目は、それにも関わらず、これは現物を見られる可能性はないよなあ……と思っていると、動画配信で公開されている可能性がある、ということへの、対応の仕方となります。本稿を校いているいま(二〇二一年七月)は、私はAmazonプライムとYouTubeしか確認できませんが、『テイク・イット・イージー』(第五章参照)などを発見しています。これは、ネタバレを墓場まで持って行っても、無意味だ、というのが、私の考えです。
そしてもうひとつの理由は、本校は単なる映像紹介に終わらず、当該作品の内容と、正面から向かい合うものだからです。『災難は去った。しかし……』といった紹介文では、しかし何が起こったのかは分かりません。そこへ、私なりの斬り込みをしていきたいのです。そして、知られざる作品についても、無責任な煽りではなく、何がどうしてどうなった結果、どういう作品になったか、までを校き切りたいのです。
ですので、一部を除き、敢えて、ネタバレありにいたします。結末を読みたくない方は、気になる作品だけをチェックする、などで納得していただけないでしょうか。
真に身勝手な話だ、とは思いますが、よろしくお願いいたします。
また、底本にあった注は、*を入れて、その日の更新分の最後、また節の最後などに、適宜入れました。ご理解下さい。
*『時をかける少女』──すでに、ブルーレイを超える「4K Scanning Blu-rey 版まで出ている。なお、DVD版もまだ販売されている。
●〇の二/少女ヒーロー映像とは
少女ヒーロー映像、とは不思議な言葉ですが、筆者の造語です。
八〇年代を中心として、少女が闘う映像作品が、数多く生み出されました。その闘いぶりは、「美少女」という愛玩物を超え、その多数が性の匂いを感じさせないことから、「少女」、また、ヒロインと言うより直截に「ヒーロー」と呼ぶべきものだ、と考えています。
少女ヒーローの発祥は、七〇年代後半の、日本映画のジャンル化に始まっている、というのが私の持論ですが、本稿では『本陣殺人事件』に端を発し、八〇年代の『不良少女とよばれて』『スケバン刑事』などを分析、さらに佐伯日菜子の『エコエコアザラク』に代表される異能ものから、現在(二〇二〇年)の作品を、可能な限り紹介していきます。
なお、Web版では、二〇二〇年代はどこまですくい上げるか、まだ決まっていません。書き終えた所で決めたい、と思います。
先にも書きましたが、ネタバレがあることにご注意下さい。また、作品の評価は、あくまで個人的なもので、人によって違うものだ、ということもご理解下さい。
また、少女戦闘ものにはアニメといわゆる特撮ものが欠かせませんが(『スケバン刑事』から『美少女戦士セーラームーン』までを網羅した、『少女ヒーロー戦記』(光栄)、という本もあります)、あまりに膨大になってしまいますし(アニメなら『リボンの騎士』から始めることになるでしょう)、本稿の内容とアニメとの関連はかなり薄いので、割愛することをお許し下さい。『ゼイラム』とか『有言実行三姉妹シュシュトリアン』が少女ヒーローでないわけでもないのですが、正直、手に余る感じなのです。
長くなりました。ともかく話を始めることにいたしましょう。それは一九七四年、青森県青森市に始まります。
(この章、終わり)
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