あいばな開花 ~異世界で愛の花を咲かせます~
だいなも
プロローグ
第0話 日常
白色の光が視界に入る。
ダンボールの上に置かれたノートパソコンが淡く光を放っている。
「...また寝落ちしたか」
ノートパソコンの画面にはいつものネットゲームが起動しており、一晩中立たせてしまっていたのであろうか、ダンジョンの入り口で自分がいつも使うキャラクターが静止している。
そのまま右下の時計を見ると4/3(土) 9時43分を表示している。
「貴重なフライデーナイトを無駄にしたな」
しんと静まり返る6帖の部屋で、そう呟く。
一部上場企業の33歳正社員。
年収は賞与を含めて300万未満。
月3万の家賃、古いアパートの一室で金曜の夜を有意義に過ごせなかったことに対して、僅かに後悔する。
どうでもいいか、いつものことだな。
そう考えて起き上がり、洗面台の前に立ち、顔を洗う。
口をゆすいでると、浴室の窓から快晴の空が見える。
外出でもしようかと思ったが、すぐにその考えを辞める。
今日もノルマをこなさないとな、どうせレアドロップは無いだろうが。
部屋に戻り、ノートパソコンの前に座る。
しばらく呆然と画面を眺めていたが、依然として眠気が取れず、ゆっくりとした動作でマウスとキーボードを操作する。
ネットゲームの中では自分のキャラクターが商店を開く準備をしている。
ちょっと安くして多めに登録するか。持ってても使い道が無いし、この値ならまず売れるだろう。
出品するアイテムを登録し、商店を開いたのを確認してから布団に潜り込む。
まだ土曜の朝だ、もうちょっと寝てもいいだろ。
そうして微睡んでいく。
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