夜

 布団に入り、リモコンで部屋の電気を消す。


 ピッ―


 その瞬間、全てが夜の闇に支配され、辺りは静寂に包まれた。躰が暗闇に溶けていくような、


 ――そんな感覚に襲われる。


 ふと今日の仕事のことが頭に浮かんだ。要領が悪くて上司に怒られたなぁ。少し嫌な気持ちになった。今度は、同僚のくだらない雑談を思い出して、少し可笑しくなった。


 今日の出来事を思い浮かべながら、この暗闇に深く、深く溶けて、沈んでいく。

 

 ウーッ――


と風の唸り声が聞こえて、現実に引き戻される。


 辺りはまだ闇と静寂に包まれている。


 明日は休みだ。

 彼女と街へ出かける約束をしてある。少しニヤついてから、瞳を閉じた。


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