第3話 レオの学生生活
「えー。レオーもう帰るのー?」
甘ったるい声でカフェで働いている女がしだれかかって来た
俺よりも年上のこの女は初めて王都に来た時に、俺に声をかけてきた
「お兄さん、お腹減ってるの?うちで食べて行ったら?安くて美味しいのよ」
慣れない土地でキョロキョロしていたら女に声をかけられた。
たしかに腹は減っていたし怪しい店ではなかったので、入る事にした
「へー。田舎から出てきたばかりなんだ! せっかくイケメンなんだからもっとおしゃれを楽しまなきゃ! お姉さんが手伝ってあげる」
カフェで知り合った女。レオナと言った。
「ここ! 学生さんにも人気なんだよ。流行りのものが手軽に買えて人気なの」
店内に入り、あれこれと選び出すレオナ
「せっかくだから着てみてよ」
服もたくさん持ってきているわけではないので、この金額で購入できるのは正直言って有り難かった
「めっちゃ似合うよ、ほら鏡見て」
田舎には売っていないデザインで、王都の若者に人気のショップの洋服。
着てみると急に都会の若者になった気分になったので何点か購入することにした
「次は理容室ね」
レオナの働いているカフェの常連だと言う店だった。
「いらっしゃい、今日はどうするの?」
いや……どうするもこうするも、俺には分からない。チラッとレオナを見ると、顎に手を当てうーん。と悩んでいた
「さっぱりさせて!この子はハンサムなんだから、バッチリ顔が見えるように!」
「はいよっ」
言われるがままに散髪をされて鏡を見ると、女性に好かれそうな甘いマスクの顔が鏡に映し出された。
「えっ……俺?」
「ハンサムなのに勿体ないわよ! さっぱりしたわ。もう少し年齢を重ねるとロングにして髪を束ねるとダンディになるわね。
レオの髪の毛はとっても珍しくて綺麗なプラチナブロンドだもの。それに青い瞳はサファイヤの様な輝きを持っているわ」
不細工では無いと思っていたが、比べる対象があまりいなかったから、自分自身では分からなかったが、褒められて悪い気はしなかった
「ありがとう。案内してくれて、とても助かりました」
レオナに礼を言った
「良いの良いの。お礼なら今度デートでもしてくれたら良いから」
ウィンクをされた。人生でウィンクをされたのは初めてでドキッとした。
レオナは年上で色気がある美人だったから。
「すみません。婚約者がいるので、デートをすることは出来ません」
セイラが知ったらショックを受けるだろうから、断りを入れた
「ふふっ。可愛いのね! 婚約者がいてもデートくらいするわよぉ」
ぽんと俺の肩を叩きながらくすくすと笑うレオナ
「兄さん、ウブだね……そんなんじゃ
理容師に言われた
そんなもんなのか……田舎の常識と都会の常識では見解が異なるのか?
「はい! 決まりね今度デートしましょ」
******
学園では早々に友達ができた。王都から田舎に至るまで色んなところから人が集まっていた。俺は学園内の寮に入る事になっていた。
男子寮は楽しかった。色んな話が聞けた。自身の婚約者の話から好きな女の子の話、流行りのもの、趣味の話
朝と夜は寮の食堂で食べるのだから、友人たちとの仲は深まるし、風呂は大浴場だったので裸の付き合いもある。
セイラから手紙が届いた。友人に見られ、どんな子だ?とからかい半分に聞かれた
「そうだな。子爵家の令嬢で世間知らずの可愛い子だよ」と言った。
「へー。お前の婚約者がか?お前とよく遊んでいる女はみんな派手なタイプばかりなのにな」
「お前が女の子と出かけた帰りは香水の香りが残っているから分かりやすいよな」
「あと化粧の臭いもな」
はははっと笑う友人達
「レオ、婚約者がいるのにデートしていて良いのか?」
「ん? それが普通だろ。あっちが誘ってくるんだから仕方がないだろうに」
「へーへー。イケメンは言うことが違うね、羨ましいことだ」
「俺も言ってみたいセリフだ。デートをしている事が婚約者にバレたら、きっと泣かれてしまう……考えただけで恐怖だ」
「おいレオ、返事は書かないのか?明日手紙の配達の締め切りだぞ」
「そうだな、じゃあ書くか……部屋に戻るよ」
手を振り自室へと戻る
あいつらせっかく都会に出てきたのに勿体ない……セイラは可愛いが都会の女の子とは全く違う
都会の女が棘のある薔薇だとしたら、セイラは道端に咲く野草のようなものか?
来年王都に出てきたら、俺がセイラを都会の女に仕上げてやろうか……
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