第2話 レオからの手紙


【セイラ元気にしてるか?俺は楽しく過ごしている。田舎とは違って都会はいろんな奴がいて楽しいぞ】




 えっ? ……それだけ? 私なんて返事をすればいいの?



【レオが元気で過ごしているようで安心しました。ハンカチを送るね、たまには私のことも思い出してね】


 レオにはいつも私が刺繍をしたハンカチを渡していた。それをいつも喜んで使ってくれていたから、手紙と共に送ることにした

 喜んでくれたら良いな




~一ヶ月後~



「セイラちゃん手紙を届けに来たわよ」

 レオの母親が自ら届けてくれました


「おばさま、わざわざ届けてくださったのね。ありがとう、昨日焼いたお菓子があるの! お母様も褒めてくださった自信作なの、お茶をいかがですか?」


「ありがとう。急に来たのにもてなしてくれて嬉しいわ。セイラちゃんとレオが一緒になってくれるのが待ち遠しいわ」



 いつも優しい言葉をくださるおばさまのことが大好きでした

 一時間ほどお話をして、おばさまは買い物へ行くからと言って帰って行かれました。


 もちろんお菓子を包んでお土産に渡しました。バターをたっぷりと使ったクッキーです



 レオからの手紙は封筒が膨らんでいました。

「なんだろう……?」

 部屋に戻って開封しました




【セイラ、ハンカチはこれから足りなくなったら買うから大丈夫だ。田舎とは違ってなんでも売っているし、不自由はない。ハンカチのお礼に王都で人気のコロンを贈るよ】



 小さな小瓶が入っていました。

 ハンカチ、もういらないんだ……。この前までは喜んでくれていたのに。

 刺繍のハンカチは私の自己満だったようで、悲しくもあり反省をしました。



 レオから送られてきたコロンの小瓶を開けてみました。強い薔薇の香りが鼻に纏わりつく感じがしました。

 王都で流行っている香り……?

 その後、コロンの香りが一日中抜けませんでした。


 レオが私の為に贈ってくれた物だけど、私の好みの香りではありませんでした。

 小瓶は可愛かったので、鏡台の前に飾ることにしました。



【レオ、コロンありがとう。勉強頑張っていますか?今私はマナーの勉強をしています。王都で恥をかかないように。庭にカモミールが咲きました。栞にしたので送ります】



 レオ勉強頑張ってるよね?真面目な性格だからそこは大丈夫だとおばさまも言ってらしたから、心配のしすぎだよね……





 その後レオからの手紙が届いたのは二ヶ月後でした


「セイラちゃん、なんだかレオが忙しいらしくてお返事が遅れちゃったんだって。私たちも心配していたのよ」


 レオからの手紙を預かってホッとしました



「宿題が多いのかしら? それとも学園で何かお手伝いでもしているのかしら? レオは優しいから困っている人を見掛けるといつも助けてあげるから……」


 優しいレオのことを思い出しながら、おばさまとお母様でお茶会をしました。

 今日はおばさまが来られると言うことで、パウンドケーキを作りました。


「いつもながらセイラちゃんの作るお菓子は美味しいわね」

 おばさまが褒めてくださいました



「王都の屋敷はここに比べたら狭いけれど、材料がたくさん揃うから、きっとセイラのお菓子のレパートリーが増えるわよ」


 お母様はおっしゃいました。

 私にはユベールと言うお兄様がいて私の六つ上です。寮生活でも良かったのですが、ユベールお兄さまがせっかく王都に屋敷があるのに勿体ない! と言って来年からはユベールお兄様と暮らす予定です。


 ユベールお兄様は私が卒業するまでは王都に滞在するとのことでした。 

 両親もそれを望んでいるようなので、お言葉に甘えることになっています。

 いくら婚約者のレオがいるからと言っても知らない土地で、しかも都会で暮らすのは心細いから



 おばさまが帰っていき、手紙を持って部屋へと入りました。

 もうすぐ夕暮れです。

 レオと見ていたこの美しい夕陽は王都でも見られるのでしょうか……


 レオのことを思いながら手紙を開封しました



【セイラ、手紙の返事が遅くなって悪かった。忙しかったんだ、あと心配は不要だ。セイラもきっと分かる日が来る、栞ありがとう懐かしかったよ】



 ……レオを心配する気持ちも不要でした





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