全国大会決勝に向けて

第14話 決勝の課題準備

全国大会決勝は1週間後。


課題は、


『どこか実在の会社を選んでM&Aを提案するプレゼンを行うこと』


である。


プレゼン時間は20分。

相当しっかりとした提案書を作らなければいけない。


どこの会社を選ぶか、その会社に適したM&Aとはどういうものか、会社調査や市場調査などかなりの労力を有する作業となる。


決勝までの1週間、両チームともに夜も寝ずに準備を続けている……はずだったのだが……



――きゃー!!ざっぱーん!


大きな水しぶき。


ウォータースライダーから上がってきたミユキはテンションマックスだ。


「楽しいよー、フユミも行こうよー」


そう、ここはサマーランド!

ミユキは決勝の準備などそっちのけで夏を満喫しているところだった。


「……あのねぇ、決勝まで間もないのにこんなところで遊んでていいわけ?」


「もう、ここまで来て何言ってんのよ。楽しんで決勝に向けて充電しちゃおうよ」


「……ミユキは本当に呑気よね」


「そんなこと言いながらフユミだってワンデイパス買っちゃったんでしょ?」


「そ、それはみんなが買うから仕方なく……」


「しかも、そんなにきわどい水着来てきたのに?せっかくのボインをみんなに見せつけるチャンスだと思ってるんでしょ?」


「そ、そんなに際どくないわよ。ちょ、ちょっとだけよ……」


オーソドックスなワンピース水着のミユキに対し、フユミは胸元アピールのホルターネックビキニだ。

どこが『ちょっとだけ』なのか、理解不能である。


「ふーん?ま、いいや。次はあのでっかいスライダーにいこうよ」


「……もう、仕方ないなぁ」



――そして、その二人の後ろからついてくる男性二人は、もちろんトシとケイスケ。


「……目の保養になるなぁ」


「……ああ、これで決勝も気合十分だな」


彼らは彼らなりに気合を充電をしているようだった。


――唐突にトシが呟いた。


「フユミとミユキが合併したらシナジー出るかな?」


「なるほど、うーん。いいところどりできたら面白いかもね。

 ミユキのロリフェイス、フユミのナイスバディ、結構いけるんじゃない?

 フユミの攻撃的な性格もミユキの温厚さで少しはマイルドに……ん!?」


……いつのまにか、フユミが振り向いて冷たい微笑みを浮かべている。

もちろん、目は笑っていない……


「ケ・イ・ス・ケ・く・ん、ちょっといいかな?」


――こうして、彼は絶叫アトラクション以上の恐怖を味わうことになるのだった。

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