第13話 第2回戦(3) M&Aケーススタディ③

第2戦は全チーム正解だったため3チームによるケーススタディ問題が続く。


第3問の問題が大スクリーンに映し出された。


『A社はB事業を切り出し、C社との合弁会社をつくることにした。

 どのような交渉論点があるか、重要なものを列挙せよ。制限時間は2分』


「えー、また2分?えーっと、えーっと」

またまた焦りだしたミユキにフユミが声をかける。


「焦らずゆっくり考えよう。論点整理はミユキが一番得意でしょ?」


「うーん、そうねぇ……要は合弁作るときのポイントってことよね」


「うん」


「そうねぇ。

 まずは議決権比率でしょ、

 株主の役割と責任、権利でしょ、

 株主総会や取締役会での決定事項と決定方法、デッドロック解消方法でしょ……」


ミユキのエンジンが回りだしたようだ。


「ケイスケ、どんどん書いていきながら、簡単な説明を付記していって」


「おっけー」


ケイスケは恐ろしい速度でタイピングしていく。


ミユキはさらに続けた。


「役員や監査役の構成や任命権でしょ、

 株式発行や第三者割当増資の規定でしょ、

 株式譲渡制限や譲渡時の取り決めでしょ、

 資金調達でしょ、

 配当でしょ、

 あとは、商号やブランドやライセンス、競業避止……」


”ぴっぴ―”


「時間です。さあ、各チーム回答をオープン」


(よし!)

フユミは心の中でガッツポーズをした。


「チーム東大FA、解説もばっちりです。すばらしい回答です。

 そしてチームまろまゆも合格。北海道代表は……残念、不合格」


今度は盛大な拍手が、チーム東大FAに注がれた。

4人は照れ笑いしながら、拍手に答えた。


「決勝へ進むのはこの2チームに決定です」


チーム東大FAとチームまろまゆ。

お互いに向かい合い、握手を交わした。改めて、会場から拍手が降り注がれる。


トシが不敵な笑みを浮かべる。


「第2回戦は1勝1敗1分だ。次の決勝で勝負だ」


「望むところです」


今日大のチームまろまゆは、鋭い視線で応えた。

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