第2話 第一問はマラソンクイズだ!
ついに第一問の時間がやってきた。
参加者全員参加の第一問。緊張が走る。
アナウンサーが説明を始める。
「第一問はマラソンクイズだ!
問題がでたらお台場の特設コースを一周走ってゴールへ戻ってくること。
ゴールには3つのゾーンがあるので、クイズの正解と思われるゾーンに飛び込め。
もちろん定員は決まっているから急ぐこと。
体力と知力を尽くして戦うのだ、心してかかれよ!!」
「「おおおおおおー!!!」」
「問題はこれだ!」
メインステージのパネルに問題が表示された。
――Q1:M&Aとは何のために行うのか?次の中から選べ。
A:愛のため
B:地球外生物の攻撃から地球を守るため
C:M&Aを通じてシナジー(買収企業との相乗効果)を早期に創出し
事業の拡大に貢献するため
フユミとトシは目を合わせた。
「なにこれ、簡単じゃん」
「おう、あほの俺でもわかる。『愛があれば何でもできる』答えはAだ!」
――バシッ!!(フユミによる無言の突っ込み)
ケイスケはあきれるように言い放った
「……付き合ってられんな」
そして……おそるおそるミユキが小さな声で他の3人に質問した。
「あの~、もう他のみんなは猛ダッシュでスタートしているけど、私たちは行かなくていいの?」
「「ああああああ!」」
慌てて走り出すメンバーたち。
――出遅れたものの、トシとフユミはゴール付近で先頭集団に追いついていた。
トシは体力自慢。
フユミも「ナイスバディは世界を救う」と本気で考え日々鍛錬している肉体派。
他のチームをごぼう抜きである。
「フユミ、答えはCなんだな?」
「そうよ」
しかし、Cゾーンの入口は狭く渋滞していた。
ふたりは全力疾走しながら目線を合わせた。
「フユミ、人目を集めろ。その間におれがチーム東大FA代表者として滑り込む」
「オッケー、まかせて」
――Cゾーンの入口は屈強な男子たちがわれ先に入ろうと大混乱になっていた。
その時――
「いったーい、ころんじゃった。ぴえん」
一人の巨乳美女がすぐ横で転んで、指をくわえて泣きそうな顔をしている。
服装は薄手の胸元が広いスポーツシャツ。
ちらっとのぞかせるはちきれんばかりの谷間……
その瞬間に、ひしめき合っていた屈強の男たちの視線が一転に集中し、動きが一瞬止まった。
その一瞬のスキを突いて、トシが一目散にCゾーン入り口に滑り込む。
――ピピー!!
「第1問、正解者30名、ここで終了です」
トシの背後でCゾーンのゲートがビシャっと閉まった。
……まさかのぎりぎり30位合格?……
「よっしゃーーーーー!!!!!」
トシとフユミは手を取り合って喜んだ。
――そのころ、残りの2名は何をして以下というと……
ミユキはゴールよりはるかに手前の位置でへばっていた。
「わたし、そもそもサマーランドにいくって誘われて来たのに、なんでこんなところでマラソンさせられるのよ~」
つまり、だまされてクイズ大会に参加させられたのである……
もう一人、ケイスケは、最初から第一問には参加せず、芝生に寝転んでいる。
「体力勝負はトシに任せて、ぼくは次の問題に向けて集中力を保っておくよ」
と合理的に体力を温存していたのだった。
アナウンサーがマイクを握りしめて唾を飛ばした。
「第1問に合格した30校の諸君!おめでとう。
きみたちはハーパートに近づく大きな一歩を得た。
これは、君たちの知力と体力の賜物だ!!」
「「うおおおおおーーーー!!!」」
会場は厚い熱気に包まれた。
その大歓声の中で、フユミはぼそっと呟いた。
「……知力と体力?私は無駄に女子力使わされたけどね」
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