夜とたくあん
音藝堂
一
僕は、夜が好きだ。日が沈み、空が黒に限りなく近い紺に染まる。空気、水、大地、周りにあるものすべてがその紺と同化する。僕は、田畑が町を覆いつくすような田舎で生まれ育った。夜になると街明かりなどは一つもなく、それはまた大層な闇につつまれるのであった。視覚が閉ざされた世界では、様々な感覚が敏感になる。
このくだらないお喋りを読んでくれている諸君らはおそらく僕と同じ感性を持っているのだろう。とまではいわないが、おそらく僕の思想に何らかの興味を持っているのだと思う。ならばぜひ、読者も辺境やそこらに出かけた際は、夜に外をぶらぶらしてみて欲しい。
二〇時、二一時の皆が宅で団欒している時間もよいが、二五時や二六時の景色は格別である。視覚が制限された中で「景色」というのは少々おかしなことではあるが、景色とは視覚ではなくこころで受容するものなのでよしとしよう。とにかく、夜は、僕に様々なことを教えてくれる経典であり、夜こそが僕の居場所なのではないかと思うこともある。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます