特殊チーム
@soundselect1
特殊チーム
(SE:パトカーのサイレン)
部隊A:こちらA部隊。味方はほぼやられました。特殊チームを要請
司令官:すぐさま応援を送る。そちらの状況は?
部隊A:武装した犯人が約15名。奥にも数人居る模様。人質は無事な模様
司令官:分かった。すぐ特殊チームの二人を送る。慎重に待機してくれ
部隊A:ラジャー。…うっ!
司令官:おい、どうした。応答せよ、応答せよ
強盗リーダー:もしもし、こちら特殊部隊
司令官:貴様!こちらの部隊はどうなった
強盗リーダー:さあな。想像に任せる。それよりこっちは和解を要求する
司令官:内容は?
強盗リーダー:ヘリを、三十分までに銀行の屋上へ用意しろ
司令官:三十分?無理だ
強盗リーダー:今目の前には人質が1、2…10人。時間はやれない。今すぐ答えを出せ
司令官:わかった、ただし人質の解放が条件だ
強盗リーダー:約束しよう。元海軍兵隊は嘘はつかねぇ
司令官:(通信を切る音)くそっ。和解という名の脅しか。
本部隊員:特殊チームを要請しました。今、笑顔と素直の二名が目的地へ向かってます
司令官:急げ
本部隊員:あの二人じゃ危険では?
司令官:時間が無い。あの二人を信じよう
本部隊員:通信繋がりました。こちらから連絡可能です
司令官:こちら本部。君たちの力を貸して欲しい。
素直:こちら特殊チーム素直と笑顔。12時の方向だね?
司令官:さすが、耳がいいな。武装した犯人がメインゲートに二名。人命救助を優先し、犯人の確保を頼む。時間は三十分しかない。急いでくれ
笑顔 素直:ラジャー
――
素直:笑顔、久しぶりの任務だね
笑顔:そうだね、素直。相手は過激派テロの銀行強盗だから慎重にね
素直:分かってる。私達の力で悪いものをやっつけよう!
司令官:二人共、犯人を刺激しないよう裏口から侵入を頼む
素直:裏口には鍵がある
司令官:君たちなら開けられるはずだ
素直:笑顔、音魔法で音符を出せる?
笑顔:勿論。ラララ~ラララ~。はい!
素直:この七分音符で…(鍵が開く音)オッケー。裏口から侵入成功!
司令官:よくやった。ダクトを通って犯人のいる部屋まで行けるか?
素直:私がやる。笑顔はここで待機して
笑顔:うん。素直、気をつけてね
――
素直:ダクトから犯人のいる部屋の天井上まで移動。人質を10名確認。犯人は、ライフルと手榴弾を所持
司令官:そのまま監視してくれ。こちらは、犯人に説得を続ける
素直:私が人質として潜入する。私が犯人達の気を引いている間に笑顔に犯人達を倒してもらう
司令官:それは危険すぎる。そんな事をしたらすぐにバレる。許可はできない
素直:許可出来ない?私達ならやれる
司令官:仕方ない。だが、必ず成功させろ
素直:オーケー。こちら素直。私は犯人の中に潜入する。笑顔は天井から犯人を狙撃して。ただし、隠密に
笑顔:ラジャー
――
人質A:お腹に小さな子供がいるの!助けて
強盗B:うるせぇ。黙らねぇと撃つぞ
人質B:神様、どうか我々に救いの手を
強盗ボス:警察は変な動きしてないだろうな
強盗B:大丈夫です、ボス
ボス:ちょっとでも不審な動きを見せたらぶっ放せ
強盗B:へい、勿論です
素直:うわーん!お母さん!こわいよ
ボス:うるせぇ!早くこの子供を黙らせろ!
人質C:私の子じゃないわ
ボス:誰の子供でもいい。早く黙らせないとただじゃおかねぇぞ
人質C:わかったわ、ほら、こっちへ来なさい
笑顔:素直は無事潜入したみたい。後は任せて
笑顔:ブラームスの子守歌!
強盗B:うっ、くそ、何だ眠気が
ボス:おい、どうした!急に寝やがった
笑顔:素直、こっちから見える範囲の犯人は寝かせたよ
素直:ありがとう、笑顔
ボス:何かおかしいな。おい、向こうの様子を見てこい
素直:隣の部屋に犯人の一人が移動
笑顔:ラジャー
強盗C:何だ…?誰かいるのか?
笑顔:誰もいないよ!
強盗C:何!どこから…!(銃声音)
笑顔:シールド!
強盗C:ちくしょう、流れ弾が足に!
笑顔:インパクトサウンド(衝撃音)
強盗C:おい何す…んだ
――
ボス:今の音は何だ!
強盗D:ボス!仲間が足を負傷したまま気絶してる
ボス:奴らの仕業か。おい!どうなってやがる。変な真似をしやがって
司令官:こちらは何も命令していない
ボス:嘘つけ!人質一人始末する。このガキからだ
素直:やめて!
人質B:子供を撃つなんて、天罰が下るぞ
ボス:ならお前が犠牲になるか?
素直:待って、私が犠牲になる
ボス:子供なのに肝が座ってるな。これが怖くないのか?
素直:そんなもの恐くなんかない
ボス:なら試してみるか
笑顔:素直!?ダメ!
司令官:待て、一人殺せば取引は無効だ。よく考えろ。食料と飲み物を用意した。引き換えに人質を五人解放してくれ
ボス:ヘリはまだなのか?俺達を舐めるな
司令官:これは最初の信頼関係を結ぶためだ。ヘリはもうすぐでそちらに着ける
ボス:わかった。人質5人を解放してやる
司令官:では屋上で待っている
ボス:五分後に仲間に行かせる。変な真似をしたら容赦しないからな(通信を切る)
ボス:よし、5人だけ解放する。屋上へ行って食料と飲み物を貰ってこい
強盗D:わかりましたボス
司令官:こちら本部。笑顔、犯人は屋上へ向かった。攻撃を頼む。素直、そちらの人質の身の確保をし、犯人が激昂したら、迷わず戦闘態勢に入れ
素直:ラジャー
――
人質A:お願いどうか助けて
素直:大丈夫だよ、皆絶対に助かるから
人質B:神様でもいない限り無理だろう。私達はもうおしまいだ
素直:そんな事ない。ほら、これ聞いて(音魔法で音楽を流す)
人質A:これ…、とってもいい曲ね
素直:この魔法は、皆の心の中にある美しい音楽を聴かせるの。どんな悪い人にも心の中には美しい音楽があるんだよ
人質A:そうだといいんだけど
――
笑顔:こちら笑顔。司令通り屋上で犯人を待機中
司令官:犯人は人質を盾にして来るはずだ。後ろから犯人だけを攻撃してくれ
笑顔:ラジャー
強盗D:おい!約束通り来たぞ!ヘリはどこだ
強盗D:くそ、騙しやがったな。今度こそ我慢出来ねぇ(銃を構える音)
人質B:ひいい
笑顔:犯人の鼓膜をキャッチ。くらえ、サウンドウェーブ
強盗D:うう!何だこの音は!
人質B:何も聞こえないぞ
笑顔:捕獲銃!
強盗D:うっ!何だ、くそっ離せ
人質B:き、君は?さっき行内にいなかったか?
笑顔:あの子は私と双子なの。そのままそこで待っててね。皆を救ってくるよ
人質B:ああ…神様ありがとう
―――
司令官:笑顔、よくやった。犯人のボスが異変に気づく前に素直のところへ援護を頼む。こちらも、他の警察官がようやく到着しそうだ
笑顔:ラジャー。素直、待っててね
ボス:食料と飲み物はまだか!あいつらまた俺達を騙しやがったんだな。本当に人質を撃ってやる。そこのガキ、来い
素直:そんな銃で脅しても無駄だよ
ボス:何だと?なら撃ってやる
人質A:やめなさい!
ボス:うるさい!(銃を撃つ音)
素直:うっ…
人質A:きゃぁあ
ボス:おい、聞こえるか警察。こっちはガキを撃った。早くヘリを用意しなきゃまた撃つ
司令官:撃った?撃ったのか。わかった。言う通りにしよう
ボス:早くしろ(通信を切る)
司令官:こちら本部。笑顔、素直が撃たれた。時間が無い。強行突破だ
笑顔:素直が!?嘘、そんな、嘘でしょ!
司令官:取り乱すな。今は、人質の事を救う。それが任務だ
笑顔:どうして素直が
司令官:立派に任務を果たしたんだ。君は、それを無駄にしちゃいけない。犯人のボスを、倒してもいい。出来るか?
笑顔:素直の分まで、頑張らせて
司令官:それでこそ、最高のチームだ
―――
笑顔:素直、かたきは討つからね
ボス:次はどいつの番だ?
(行内放送:笑顔):ぴんぽんぱんぽーん、こちら行内放送、行内放送。午後の音楽の時間です。今日のリクエストはあなたの心の音楽です
ボス:何だこの放送は、ふざけた真似しやがって
笑顔:それではお聞き下さい(音楽が流れる)
ボス:酷い曲だ、何なんだこれは
人質A:とってもいい曲だわ、さっきのと同じ曲ね
ボス:うっ、撃つぞ!全員撃ってやる
人質A:きゃぁぁ
笑顔:撃つなら私を撃ちなさい
ボス:な、さっき撃ったはずなのに!
笑顔:だーかーら、怖くないって言ったでしょ?
ボス:うう、また撃ってやる!(銃声音)
笑顔:リテヌート!
ボス:弾がゆっくりになっただと?
笑顔:ア・ピアチェーレ
ボス:弾が自在に!?これは夢か。ぐあっ
笑顔:大丈夫、殺さない。音楽は人を救うためにあるから。人質を解放してくれたら、あなたをこのまま警察に引き渡す
ボス:そうか、ありがとうよ。なんて言うと思ったか
笑顔:しまった!手榴弾
ボス:皆道連れだ
笑顔:うっ、間に合わな
素直:シールド!手榴弾へターゲットオン
笑顔:えっ、素直!?
(爆発音)
ボス:な、どうなってるんだ
素直:もう笑顔、落ち着いて。攻撃物から全てを守るには、その攻撃物を守ればいいって
笑顔:す、素直!どうして?
素直:えへへ、防弾チョッキ!
笑顔:良かった。本当に生きてて良かったよ、素直
素直:まだ任務は終わってないよ。私達の司令は?
笑顔:人質の皆を守ること
素直:よく出来ました
ボス:ふ、双子だったのか!お前らは警察の回し者か!
素直:今頃気づいても遅いよ
笑顔:子供だからって舐めないで
素直:最後はアカペラでいく?
笑顔:それもいいね、でもやっぱり
素直 笑顔:ゲネラルパウゼ!
ボス:体が!動けない
素直:演奏完了
――――
司令官:二人共、よくやった。君たちは最高のチームだ
人質A:命を救ってくれてありがとうございます
素直:当然のことだよ。生まれてくるお子さんにも素敵な音楽聞かせてあげてね
笑顔:素直のおかげで、任務成功出来たよ。ありがとう
素直:違うよ。笑顔という、私の大好きで一番身近にいる相棒の助けがあったから、成功したんだよ。ありがとう
司令官:君たちにはいつもヒヤヒヤさせられる。だが、二人共最高のチームだ。これからも特殊チームとして、世界を救ってくれるか?
素直 笑顔:もちろん!
素直:じゃなかった
素直 笑顔:ラジャー
(拍手の後にヘリの音が鳴る)
完
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